032
「春湖~~~ぉ」家に入ると由美ちゃんが抱きついてきた。
「ひさしぶり~~」私はなんかちっこくなった由美ちゃんを抱きしめた。
「この…薄情者 ホントに一回もかえって来ないって~~
成人式すら欠席したし~~」
「ごめんね~~忙しいし汽車乗るのもめんどいし…
なんかそんなこっちゃで…でもお金は貯めたよ~~。」
「それにここに住まないんでしょ?」
「うん~一人暮らしするよ。」
「ママとパパ寂しそうだよ。」わかってる……。
「子離れ 親離れだよ。」
「そんなもんなの?寂しいっしょ…親って…
秋杜だって最近またわをかけて 自分の世界だし……
つまんないよ……。何考えてんだか男ってむずかしいね。」
「秋杜は特別だもん~昔から変わってたよ。
おじさんぽくって なんだか五歳違うのに同じ年だった?って
考えちゃうよ~~~」
由美ちゃんが笑った。
「秋杜って不思議なこと言うよ~確かあの時春湖が線路を渡って
向かい側の公園に行ったんだよね…
そのことたまに言ったりするんだよね。
あの時は確かに まだ秋杜はお腹の中にもいなかった気がするんだけど
きっと私たちの思い出話とか聞いて自分なりの解釈してんのかな。。。」
「へ~あの奇跡的にJRを止めないで横断したやつね?」
「そうそう~~ホントに春湖はいろんなことやったから~
秋杜はおかげさまでそんな危険なことしないで
大きくなってくれてよかったわ。
春湖はもう…考えられないこと連発してたよね。」
「そ…そんなに?」
「それがね~エライエライ~~立派に就職決めて
社会人か~~。
今日は春湖と酒を飲もうって張り切ってるよ~」
「お酒?私めっちゃ強いからね~~。
あれ…秋杜は来るの?」
さっき会ったけどね~~
「秋杜は何考えてんだか~~~きっと女でしょ」
心臓が縮まった。
やっぱ女いるんだな
「彼女なの?」
「それがさ…あの性格でしょ……本気で付き合うなんて
あの子にはありえないわ……。今に 責任とってくれとか…怒鳴りこまれそうで
私も怖くて怖くて・・・」
「不純異性交遊してんだ~~」
「秋杜はわかんない~~。親でも謎だもん~~
あの子はきっと春湖しか本気にならないかもしれないわ~~」
由美ちゃんの言葉に赤面した。
「な…何言ってんの……。
お互いに恋愛対象にはならないよ」
慌てて平静を取りつくろった。
でも…秋杜は間違いなく 想像以上にすてきに成長していた。
あの子はきっと春湖しか本気にならないかもしれない
そんなことは・・・・ないだろう・・・・。
秋杜のマジ恋……おねえさんとしては確かめたいと思ってる……
少々複雑ではあるんだけどね……。
秋杜は間違いなく 成長している。