029
「なんで俺から逃げる?」
秋杜の言葉に私は 戸惑った。
「逃げるなんて…そんなことないよ…。」慌てて答える。
だってそれは図星だから・・・
「運命にまかせて…その波にのまれればいいだろう?
なんで騒ぐ?だから間違えるんだよ。」
おい…おまえ…いったい何歳だ?
「ちょ…ちょっと…それは私が間違ったことしてるって言いたいの?」
「間違ってるさ~どう考えても…誰に聞いても…
おまえは俺と結ばれるために生きてんのになんで逃げる?」
「あ…あのね…私はもうすぐ成人するんだよ。
だけどまたあんたは中学生じゃん…。どこにこんな一応年の女が
中学生と本気で恋なんてする?
間違ってるじゃん。私にはやっぱ恋人って目線では見れない…し
みたくない…絶対おかしいもん~」
そう世間さまもそう思うよ……
「人の目なんて関係ないだろ?
大事なのは俺が世界で一番 春湖を愛してるって事実……。
春湖だって無駄な抵抗さえしなければ…きっと絶対俺と愛し合える。」
秋杜の自信満々な様子は とても中学生とは思えない。
「無駄ってね・・・・あんた・・・・」 あんまりでしょ……
秋杜が立ちあがった。
「デカ……」思わず口にしてしまった。
そして私の前に立ちはだかって 私の顎を上に向けた。
「な……何?」
「運命に逆らうな春湖……。」
「なんだかおかしな自信だよね…運命なの?
ありえない~ありえないったら~まったく…秋杜も
いつまでもお子ちゃまなんだね。」
「黙れ……。」
「秋杜の住む世界と私の住む世界は……違うんだよ。
それを無理したら…もし付き合ったにしても
きっと別れてしまうから……。」
「俺と春湖は運命だって……。」
私は壁に押し付けられた。
「痛いよ…秋杜……。」
その時また秋杜の唇が触れて 私は体が金縛りにあったように動けなくなった。
「俺は…待ってるから……。
おまえが俺を男として見てくれるの…待つしかない。」
唇を離して 秋杜が言った。
心臓が飛び出しそうなくらいに ドキドキしていた。