027
どうしてあんな男…好きになったんだろう……
パニック状態のまーくんを残して部屋を出てきた。
私の妊娠のことより
彼女になんて話そうということで頭が一杯の様子だった。
嘘だよ ばいばい
そう言ってやるつもりだったけど…シャクに触ったからもう少し悩んどけ
「バカだね…あんたはホント……
男見る目がないんだわ…ってまだ若いんだから…いいよね…
軌道修正を早めにできて…このまま嘘がわかんなかったらきっと
私はもっとまーくんに溺れてて…そして『転勤だからバイナラ』って捨てられたんだ。
ぞっとする・・・。
教えてくれた あの子に感謝しなくっちゃ……。
平野 春湖 初体験で失恋しました。
それも…裏切られていたことも知らずに 秘密の恋の虜になって……
しばらくいいや・・・
恋なんていい………。
慌てて誰かを好きにならなくても…きっといつか
また出会いがあるから……
そんときは慎重に同じ過ち繰り返さず・・・・・
「勉強しよ~勉強していい会社はいって 玉の輿でもなれればいいよね~」
月明かりの中歌を歌って歩いてると
「頭・・・いかれてるのか?」と声がした。
ふり向くとポケットに手を入れて 秋杜が立っていた。
「お!ひさしぶりだね~」私は明るく挨拶をした。
秋杜は何も言わずに私の前を通り過ぎた。
相変わらず可愛くないな……
気にせずまた歌を歌ってると
「おまえ・・・ふられたのか?」とふり向いた。
「な…何でよ。ラブラブだかんね~~」慌てる~~
「なんかふられて恨んでる歌詞だったからさ……」
そ…そういえば…そうだ~~~
「何…何言ってんの~~。今度カラオケで歌う練習してんの。」
「ふ~~ん」秋杜はニヤリと笑った。
「あんたは学校でうまくやってんの?その性格だから…
ツンツンしてて嫌われてるんじゃないかって心配してんだよね~」
慌てて話題を変えた。
「女はさ~~M子が多くて…全然不自由してない~
ってかめんどくさくてうっとーしいだけだ。」
「うわ~~・・・・・。なんかほんと絶対あんたみたいなのとは
付き合いたくないね~~」
「俺は 一人の女の前でしかホントの俺は見せないから~
誰にでも いい顔なんかしなくたっていいんだ。
愛する女は一人でいいんだ。」
秋杜の言葉にオーラーが見えた。
だけど…人生そんなきれいごとなんて通じない・・・・・。
「秋杜はお子ちゃまだね~~
そんな理想は秋杜が大人になっていくたびに汚れていくよ。
男なんて性欲コントロールできなくて嘘つきばっかだよ~」
ついつい……
「そんな男にひっかかる女が~悪いんだ。」
ムッ……
「ま~いいけど
あんたの成長ぶりを楽しみにしてるわ 秋杜くん
そのままずっとそんな理想を持って成長して行ったらぜひ抱しめてもらいたいもんね。」
「今の言葉…忘れんなよ~」
所詮 秋杜がなんてきれいごと言ったとこでそれは子供だからであって…
そんな男…よ~~く探してもなかなか出会えるかどうか~~
だいたいパパと尚ちゃんだって
隠れて風俗新聞を読んで
「次はここにするか~~」って企んでる。
まったくまったく……
みんなまーくんと同じじゃん
ママと由美ちゃんだってそんな企み知ってんだか……。
今回のことで私
かなり男嫌いになってしまった。
「女だってさ 愛される女にならないと
一方的に男に愛情を要求したってそれは無理な話だからな~
覚えとけ~~」
秋杜はそう言うと少し早足で歩き出した。
ん??????
「何よ~~ガキのくせに~~知ったかして~~~
恋だってまともにしてないのに あんまり頭でっかちだと生きていけないわよ~!!
あんたが女でも知ってから 語ってちょうだい!!
何も知らないくせに も~~ムカつく!!」
結局秋杜に八つ当たりしながら…夜の道を少し離れて歩いて帰った。