026
ピンポ~ン~
まーくんのアパートに灯りがついているのを確認して私はインターフォンを鳴らした。
「はい?」 まーくんの声
声色変えて
穴からずれて
「書留です~~」と言った。
「書留?」
まーくんがドアを開けたらか思いっきり開いて玄関に突入
「春湖!?」目玉が出そうなくらい大きな目をして まーくんが言った。
「うふふ…来ちゃった~~」
「来ちゃったってさ…突然何?どうしたの?」
「一緒に食べようと思って……話したいこともあったし
早い方がいいかなって思って~お邪魔していい?」
まーくんの顔が青くなっていた。
「ちょっと…無理 俺外出るからどこか行こう。」パニック状態
「いいよ~~汚くて~男の部屋がキレイな方が
ひいちゃうもん~~おじゃま~~」
私はまーくんの腕の下を潜り抜け 部屋の中に入った。
「春湖!!ちょっと…ちょ……」
男の部屋なのはわかった……。
でもここには何か真実があるはず~~と思ったら
足元に写真が散乱していた。
「あれ?これってどこ?」
一枚拾ってみたら 美しい海をバックにビキニ姿の女の写真
「あ~~ちょっと・・・」慌ててまーくんが写真を
片付けようとしたからそれをまたとりあげた。
「これ?誰?まーくん……」純真な乙女が地獄におとされた瞬間を再現
「あ…いやこれは…あの…大学の友達たちと一緒に海に……」
まーくんはパニック状態に陥っていた。
部屋を見渡すと 写真立てがあって
そこには着物姿の女の人とスーツ姿のまーくんと
多分両親…の写真……
ハラハラと一枚が床に落ちて 二人がキスをしてる写真……
私は胸の奥で大きなため息をついた。
「これって……?」
もう…無駄だと思ったのかまーくんもため息をついた。
「婚約者……」 知ってるよ…バーカ……
開き直って見えるその態度に 怒りが込み上げてきた。
「まーくん…嘘でしょう?」
「悪い…騙すつもりはなかったんだ……。春湖には…出会うのが遅かったけれど
あきらめきれなくて…だから俺…なかなか言い出せなくて……
彼女とは婚約してるけど…俺は春湖が好きなんだ……」
うそこけ・・・・・
「本当?私の方が好き?」
「そうなんだ…だけど彼女とは別れられない……
親たちが決めてしまって……だから…ごめん……
許してくれるか?」
と 私を抱きしめた。
虫唾が走った……。
「私をその人より好きなの?」
「あ…ああ…好きだけど……別れられないんだ……。」
「大丈夫だよ。別れられるよ……。」
私は顔をあげて すっとんきょな顔をしてるまーくんを見た。
「赤ちゃん……赤ちゃんできちゃったの……。」
「へ??」まーくんの顔色はどんどん白くなってきた。
「卒業したら…お嫁さんにしてくれるでしょ?
彼女にはそう言えばきっときっとあきらめてくれるわ。」
「だって…さっき…」まーくんが早く悪夢から
はい出て来ようとしてるから
「驚かせようと思って~~さっきはどうしても言えなくて…
たこやき焼いてるの見たらやっぱ今日言おうって思ったの。」
「ちょ…そんな…いつ……」
「もう今月のアレ二週間以上来てないんだもん…
怖くて…まーくん来たら一緒についていってもらおうって…」
もういつもの大人の小笠原 正人はここにはいなかった。
「ちょっとあんまり突然で…あ…どうしたらいいだろう…」
「どうしたらって産むよ 私
だって大好きな人の子供でしょ?女にとって一番の幸せだから~
学校終わったら結婚してくれるもんね。」
追いこむってめっちゃ気持ちいい……
この嘘つき野郎 私が地獄を味わったように充分いじめてやるから覚悟して…
「産んでいいんだよね…」ウルウル目にして まーくんを見上げた。
真っ白になったまーくんの顔がめっちゃ愉快だった。
悩めばいいんだよ……悪い奴はとことん…悩ませてやるから……
洗面所に二つのおそろいで色違いのカップと歯ブラシが並んでいた。