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区役所で 学生服を着た少年が 婚姻届を出したから
受付の人は驚いていたが
「受付ました。
おめでとうございます。」
そう言って笑ってくれた。
「ありがとうございます。」思わず元気に二人で
声を合わせた。
「とうさんたちがさ お祝いしてくれるって言うから
メシでも食いにいこうや。」
「うん もうお腹すいたよ~~」
私はお腹をおさえた。
「とりあえずもう少し我慢しろ」秋杜も私のお腹をさすった。
「おめでとう春湖。
これで晴れて 夫婦になれたね。」
車で待ってた由美ちゃんが笑顔でむかえてくれた。
翔夢はベビーシートの中でスヤスヤと眠っている。
車はホテルに向の駐車場にはいった。
「こんな豪華なとこで食事するの?
贅沢過ぎない?」
私は高くそびえたつ ホテルの前で声をあげた。
「祝いだ 祝い~~~」」秋杜は私の手をまた強く握った。
「春湖~春湖は先にちょっとこっちに来なさい。」
ママと由美ちゃんが手招きしている。
「先に行ってるから~」秋杜はそう言うと歩き出した。
「何?お腹ぺこぺこだよ~~」私がふらふらな様子で近づくと
そのままドアを開けてひきこまれた。
「何?」
目の前に広がったのは真っ白なウエディングドレスが
飾られた部屋だった。
「どうしたの?これ?」驚いてる私に
「結婚式よ~もうずいぶん前から計画してたの。」
ママが笑った。
「ホントに?だって……」
信じられない私
「秋杜が選んだんだよ。ドレス。
それから費用は 秋杜の学資資金が満期になったから
そこから少し使ったの~~。」
由美ちゃんが私の手を引いて
「最高の花嫁さんにしてください。」
そう言うとホテルのスタッフが
「お任せ下さい。」と微笑んだ。
それからあれよこれよと言う間に私は美しい花嫁へと変身していった。
「めっちゃきれい~~」
ママと由美ちゃんは飛びあがった。
長いベールをスタッフにもってもらって秋杜の待つ
教会へと歩き出した。
「秋杜 また惚れるね~~」
「ほんと~春湖病の熱が上がるわね~~。」
口ぐちにそう言った。
「ありがとう…なんか今日は朝から素敵なことばっかりで……」
泣きそうになったら
「お化粧崩れる!!」そう言って由美ちゃんが大声を出したから
涙がビックリして止まった。
「秋杜が待ってるからね。
うちらは向こう側で待ってるから。」
そう言うと二人は扉から中へ入って行って
代わりにパパが出てきた。
「こんなに早くにバージンロード歩くとは思わなかったな。
緊張して昨日は寝れなかったんだぞ。」
「ありがとう。ビックリしたよ。」
「幸せになれよ。
ってか秋杜なら大丈夫だから 信じてついていけ。
おまえは翔夢を立派に育てろよ。」
「はい。」
父の腕に手を入れて 扉が開いた。
その先には 真っ白なタキシードに着替えた
めっちゃ素敵な秋杜が待っている。
大好きよ 秋杜
目の前に広がる視界の中央に立つ 愛する人の姿を
私は見つめて 歩き出した。