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「今日やっとこの柵から解放されて 入籍することができます。
みんなよりう~~んと早い展開だけど……やっと愛する者を守る
世帯主に今日 晴れてなる予定です。」
「ホント?」 「マジか?」
教室がざわめきだした。
担任は口をポカンと開けている。
「パッ…パ……」
翔夢の小さい手が 秋杜の頬を叩く。
「あれ?そーいえば・・・
俺のこと 完璧に呼んだよな?」
翔夢が声を出してわらっている。
「翔夢~~~ぅぅ」
秋杜は翔夢を抱き当て頬づりをした。
一人の男子が立ち上がって拍手をしたら
次々立ち上がって拍手をしてくれて
教室の中は拍手が響き渡った。
担任や保護者も手を叩いてくれて
何も知らない翔夢も拍手をした。
その様子が愛らしくて
「可愛い~~」と女子から声があがった。
「いつか自分の家で美容室を開くのが夢です。
家族のそばで働いて 働いている姿を見てもらう
一生懸命 修行して 夢を現実にするため 頑張ります。
その時には 是非 店に来てください~~!!」
秋杜の言葉に クラスは盛り上がった。
嬉しかった
今までずっと 静かに目立たないように暮らしてきたけど
入籍を前にして こんなお披露目してもらえて
私は感動していた。
「新居の爆弾宣言を聞かされて 先生も驚いたが……
みんないろんな生き方があるからな。
その夢に向かって 努力して……悔いのない人生を送れるように
頑張ってほしいな。
新居 みんなのいい手本になるためにも
世帯主として早く自立するように頑張れよ。」
みんなが口ぐちに頑張れと言い合って 笑顔で
教室を後にした。
「んじゃ…行くか~」
秋杜は翔夢を抱いて もう片方の手で私の手をとった。
状況を知らない生徒や 教室を飛び出してきたクラスメートが
早速他のクラスの友達に速報を伝えたりして
私たちを見る視線が 騒がしくなってきた。
「堂々としておけ。
もう誰にも何も言わせない。
愛する女と一緒に歩ける毎日をどんだけ心待ちにしたことか…」
私の手をにぎる秋杜の力にたくさんの愛を感じる。
「すごく刺激的なお披露目会だったわ。
一生忘れられない……。」
感動で涙が出た。
秋杜が私の涙にキスをするから
周りにいた生徒たちから
「ヒューヒュー」と冷やかされた。
「俺の春湖は 世界で一番最高な女だからな~
もっともっと見せびらかせなきゃさ~」
学生服を着たパパが 子供を抱いて
そして ママの手をとって歩いている。
玄関を出て
「やっと解放された~~」秋杜が空を見上げて叫んだ。
「お待たせしました。
今日が俺たちの結婚式だからな。」
「そうだね。入籍記念日だね~~。」
由美ちゃんの車が止まった。
「婚姻届 出しに行こうか~」
今日の日を忘れない……
私はそう誓った。