212
入院中は事情を知っている人たちがたくさん
見舞に来てくれた。
一世さんも大興奮の私の子供
「絶対将来 アイドルだね~
このつぶらな瞳がたまんない~~」
社長の奥さまと 光太郎の双子の姉が来たのには
ぶっ飛んだ。
とても可愛いベビー服をお祝いにってくれた。
「これ着せたら写真送りますから。」
楽しみだった。
どんどん増えて行くベビー服
これを着る この子が楽しみでならない。
退院する前日も 秋杜は頭を抱えていた。
「名前……難しい~~~」
「あれ?だって一杯言ってたじゃん
いろんな名前~~どれにしようか迷うくらい~~」
「ん~でもさ実際こうやって対面すると
どれもこれもぱっとしないんだ。」
秋杜はおっぱいに吸いついて フガフガ言ってる赤ちゃんを見つめた。
早くからおっぱいが出るようになった私は
なんとか母乳一本でやっていけるようになった。
片方をあげてるともう片方からも母乳が溢れだす。
由美ちゃんと母が退院後のお産扱いをしてくれると
泊まりだして毎回見舞に来てくれている。
張り切る二人に一杯甘えておこうと思った。
戸籍上 まだこの子には父親がいないから……
それが少し残念だけど
もう少し…秋杜が18になって卒業式の日 入籍をしようと決めていた。
「勉強より難しいな~だってコイツの人生にずっと付き合って行く名前だろ
責任重大だよな~~」
「そうだね~でも私は自分の名前は好きだったな~
特に漢字が好き。」
「春湖が春だから秋に生まれた俺は秋杜 なんか安易だな~~」
秋杜はまた考えこんだ。
「頼むね~おとうさん~~」
秋杜の頬にキスをした。
「しばらくはかあちゃんたち邪魔だから……
ベタベタできないけどさ~~早く一日中抱きしめていたい……。」
「私も~~でもね……赤ちゃん生れたら一日中は無理よ~」
私はおかしくて笑った。
「あ…そうだ。こいつは史上最大のライバルだからな~~
ルイト問題にならな……い…ってごめん・・・・・」
言いかけて秋杜が謝った。
「ルイトと比べる?」
私はおかしくてケラケラ笑った。
ルイトが向こうの映画に出ることになったって一世さんたちが
教えてくれて 明日制作発表らしい。
日本でもそのことが話題になってて 私も凄く楽しみだった。
頑張れ 光太郎~~
おっぱいにむせて赤ちゃんが苦しそうにせき込んだ。
「大丈夫か~~?もしも~し」
力いっぱい可愛い声で顔を真っ赤にしてせき込んでいる。
「生きてんだよ~こんなちっこいのに~~頑張ってんだよ~~」
秋杜はそう言うと顔面母乳だらけの 赤ちゃんの顔を
優しくガーゼで拭いた。
「……とむ………」
「ん?」
「とむってどう?」
「とむって…ジェリーはどこ?って感じ?」
私がボケると秋杜が
「あのな~~~」と私の鼻をつまんだ。
「翔に夢で……翔夢……トム……
夢に向かって飛べ……みたいな………。」
「いいんじゃない!?ジェリーがいないけど~
素敵な名前だわ。」
「今はまだ…平井 翔夢 だけど……
新居 翔夢 とむって呼べるだろう?」
「いいんじゃない~なるほどって感じするわ。
希望を感じる素敵な名前ね。」
二人でまた片方のおっぱいに吸いつく翔夢に
「翔夢…新居 翔夢くん~~」と声をかけた。
そして目が合った秋杜とキスをした。
「大好きよ……秋杜……。」私は秋杜の肩に頭を乗せた。