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毎日幸せだった。

外にあまり出られない時の 秋杜が運んでくる外の匂いに

季節を感じた。



由美ちゃんも二週間ごとに来てくれて

何かと世話を焼いてくれる。


両親がなかなか来られないから とても助かった。



一世さんは車で私を連れ出してくれて

運動不足になったらいけないと 郊外の公園まで車に乗せてくれて

幼稚園に通いだしたお兄ちゃんがいなくなって

寂しくなった下のチビちゃんを連れて 散歩を楽しんだ。


食料品の買い出しをしたり

ベビー用品の買いものをしたり 一世さんには感謝しない日はなかった。



「春湖ちゃんは妹だからね。」私がお礼を言うと 

一世さんはそう言って笑う。



出産が近づいて来て


お腹の子供はどんどん大きくなってきて

もうしょっちゅう動き回る赤ちゃんの動きは

秋杜にもよくわかるから


たまに飛び出した足なのか手なのか

それをお腹から秋杜は握ろうと必死になる。


五月にはいると桜が咲いて

秋杜はたくさんの桜の花びらを手に持って

私の掌に


「プレゼント」と言っておいてくれた。



秋杜は高校三年生になって もう背は伸びないけど

顔付きは完全な大人の男になって

見た目での年の差は感じなくなった。



「来月もうパパになるんだな~俺~~」

秋杜は眠りにつくまでお腹を優しく撫ぜる。



「もう寝てんのか?チビ?」



「寝てるみたいだよ。」




「おなか固くなってるけど大丈夫か?」



「最近 よくはってるんだよね。」



育児書を秋杜はあきもせず何度も何度も読み返して

頭のいい秋杜は今では私より何倍も詳しくなった。



「気をつけろよ。早産とかになったら困るし……」



「そうだね~。」




「早くこいつ…生れないかな~~」



「早く生れたら早産じゃん?」



「そう言う意味じゃなくてさ……こいつが春湖を

解放してくれたら…やっと俺だけの春湖になる……。」


そう言うと私の頬にキスをした。



秋杜は妊娠してから 子供に刺激を与えてはいけないと

自分なりの哲学で必死に耐えていた。



「安定期だからいいんだよ~」と言っても



「いいんだよ~性欲は理性で抑えられるんだ。」と鼻の穴を広げた。



でもいつもこうして二人の時間を楽しませてくれる。



「胎教は最高だよ。この子はきっといい子になるわ。」



秋杜のいたわりと愛を一杯もらって 私は幸せな毎日を過ごしている。



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