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「春湖。」
後から声がした。
「ただいま。」
「おかえり。」
私は秋杜が開けてくれたドアから家にはいった。
「ちゃんと話しできたか?」
秋杜がなんていうか少し心配だったけど
「うん。彼にも絶対幸せになってほしいから。」
「そっか~
正直に話してくれてうれしかった。」
秋杜はそういうと頭をかいた。
「うん。秋杜ならきっとわかってくれるって思ってるから……。」
「相変わらずかっこよかったか?」
「うん!!めちゃめちゃカッコよかったよ~」
思わずミーハーになった私は興奮気味に言った。
「どんな風にカッコいいんだ?」
「白いコートもボサボサなんだけど整ってる髪の毛や……
横顔なんてまさに 彫刻みたいで……それに……」
言葉をいいかけたら秋杜の唇にふさがれた。
「ん・・・・・秋杜・・・・。」
充分に息を吸ってなかったから私は 体をよじる。
「俺より・・・かっこいいか?」
「え?」
少し力の入った秋杜の指が頬に食い込んだ。
「やだ~~やきもちだ~~ぁ!!」
思わずそんな秋杜が可愛くて私はキャーキャーと騒いだ。
「誰もそんなあいつがどんだけカッコいいか 聞いてないから。」
「あ~~もう~~秋杜めっちゃ可愛いから~~!!」
私は足をバタバタさせた。
「うっさい!!彫刻みたいな横顔に勝てるわけないだろ。
それにアイツめちゃめちゃ喧嘩強いし……
この間殴られたの思いだして頭に来た。」
「俺以上に 春湖にはカッコいい男はいないんだからな?
わかってるか?」
「はいはい…わかってるよ……。」
職場からもらった花束を秋杜に手渡した。
「うわ~めっちゃ豪華だな~。」
「うん私もビックリした……。」
「これ抱えて雪の中歩いてきたんだ……。」
「光太郎さんに会うまでね。」
秋杜がまた私を抱きしめた。
「アイツ春湖のこと キレイだってめっちゃ思ったから~~
なんか頭に来るな~」
「何言ってんの~~……バカね……」
花束を足元において今度は私から 秋杜にキスをした。
「愛してるよ…秋杜…秋杜が一番だから……怒んないの~~」
秋杜は静かになって私のキスを受け止めている。
光太郎も幸せになってね……
自分が幸せすぎて 光太郎にも幸せを願うことしかできないけど……
「これからはずっと家にいるんだな。」
「うん……。」
秋杜が私を強く抱きしめた時
グニョ…グニョ…お腹の子供が動きだした。
「ん???」秋杜の動きが止まった。
私はおかしくなって
「赤ちゃんが動いたんだよ。」と言った。
「お・・・・。」
秋杜の集中した顔が可愛くて 頬にキスをした。