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秋杜は夕方になっても帰って来なかった。
メールをしたけど返信もなし……
どうしたんだろう
両親が帰る時間が近づいてきて 由美ちゃんも立ち上がった。
「空港まで送ってくるから春湖はどうする?」
私が答えに困ってると ママが
「秋杜待ってなさい そしてさっき話したこと
秋杜とよく考えてみて。
春湖が強行に説得しないとどうにもならないからね。」
ママの念押しにうなづくしかなかった。
両親は心配そうに家路についていった。
車と入れ替えに
秋杜が現れた。
「あら?おかえりなさい~」
秋杜は私を見つけるとニッコリ笑った。
「ただいま~」
そう言うと駆け足で私の前に来て
手をとった。
「何?」
驚いているまに玄関の中
「どうしたの?」
「え?どうしたって?」
秋杜に耳たぶを優しく噛まれた。
「キスしたかった~~ずっと~~病院もできないし……」
秋杜は慌てて家の中に飛び込んで行った。
うがいの音が聞こえる。
私はおかしくてクスクス笑った。
「うがい…うがい
お腹の子のためにもばい菌に気をつけて~っと」
そう言うと私を抱きしめた。
「会いたかった~~もう春湖のいない生活なんて死だから……。」
秋杜の冷たい唇が近づいてきた。
「ん・・・・・・・」
のっけから熱いキスの往来で 頭がぼーっとしてきた。
部屋の中にひろがる湿った唇の合わさる音にクラクラした。
「愛してる……絶対春湖は俺のそばにいろよ……。」
唇を離すと秋杜が言った。
「だって………」私の声は甘えた吐息交じりで……自分の声にドキンとする。
「かあちゃんたちが…なんて言ったって……
おまえは俺のそばにいろ。」
「でも……間違ってないよ……。」
「間違ってるべ?俺らはもう絶対離れないって誓ったろ?」
秋杜のキスは激しさを増す。
「私だって……イヤだよ……そばにいたいよ……。」
立っているのもやっと……で
「お腹の中の子は俺たちの宝物だからな。一緒にいなくてどうすんだよ。」
「だけど…もしこのことがばれて秋杜の将来に傷がついたら?」
「傷?かあちゃんたち…わかってないな~
俺にはさ…俺の人生の中で一番が春湖なんだから…春湖中心でいいんだ。」
「でも……。」
「余計なこと考えるな。俺がなんとかするし……。
それに俺は春湖のこと隠したりしないからな。
堂々としてればいい・・・・・。それが許されないなら学校なんかやめてやる。」
私は思わず秋杜の胸を押して
「それはダメよ……。卒業はどんなことがあってもして…。」
「……わかった……。じゃあそのようにするから俺から絶対離れるなんて言うな。
それが俺のためとかそんな犠牲いらねーからな。
俺はわかったんだ……。萌のことでおまえと距離を置いた時
辛くて辛くてもう死にたいくらいだった。
だから…もう二度とおまえから離れないんだ………。」
秋杜の言葉に胸が熱くなった。
「な?俺たちずっと一緒にいるんだからな……。
ばれたらばれた時だし 春湖は俺のそばで一生暮らすんだからな。」
熱い言葉に感動して 私は涙が溢れてきた。
「大好きよ……秋杜……。」
秋杜の首に腕をまきつけた。
「絶対に…離れないもん………。」
「いい子だな~そうそう俺の言う事 ちゃんと聞いて……。」
秋杜はそう言うとまた 熱くて甘いキスを開始した。
二人が溶けて 一緒になるくらい……熱いキスをした。




