019
混乱する心で作り上げたマスコットを持って
私はまーくんとの待ち合わせ場所にいた。
ママにはまた嘘をついて 友人の家で仲間たちと忘年会ということにした。
ママには私を疑うところは一つもないから
おこづかいまで持たせてくれて
「帰りはタクシーに乗ってきなさい。」と遅くなることを
見越してそう言った。
胸が痛くなった。
ごめんね…ママ……
車のクラクションが鳴って ふり向くとまーくんの車
いきなり思いだしてしまった 秋杜とのキスに大きな罪悪感
私が助手席に乗りこむと
「お待たせ~いい子にしてたか?」と言った。
「寂しかったんだから……。」私は口を尖らせた。
いつものように隣の街に車が走り出したから
「まーくんのお部屋に行かないの?」と聞いた。
「せっかくのクリスマスだもん…きれいなとこでしようよ。」
「春…まーくんの部屋に行ってみたかったのに……」
少し慌てたように
「今度招待するからさ。」と答えた。
私はめっちゃガッカリした。
まーくんは聞いてもいないのに 出張先で起こったことを話だした。
「メールもしちゃダメなくらい忙しかったの?」
「そうなんだ。ずっと同じ部屋の先生と一緒で
なかなか大変だったんだよな。」
ふう~~ん……
こんな雪の日に遠出するのは 私と一緒なのを誰かに
見られたら大変だっていうこと
なるべく会う確率が少ないところを選んでドライブした。
途中でコンビニ弁当とお菓子とジュースを買いこんで
私の人生初……
大人になる場所に車を駐車して その横の階段から
ニ階の部屋に向かった。
ドキドキドキドキ・・・・・
まーくんと繋がれた手に汗をかいた。
「大丈夫か?」
「全然~~大丈夫だよ~」
ホテルの部屋のドアを開けると中央に大きなベットがあった。
「うわ~~~ぁ~~すごい~~~」
友達の噂には聞いたことがあったけど すごい煌びやか……
「なに~~これ~~」
お風呂は鏡張りで
「見えるじゃん~~~やだ~~ぁ~」
私はパニック状態だった。
「そればっかじゃないし……ここでお祝いしよう
遅くなったクリスマスと忘年会と…それからお正月のお祝いも
ちょっと早いけど~」
そう言うと紙袋の中からデコレーションケーキを取り出して
さっき買ってきたお弁当やジュースを並べる。
そして大好きなキレイな指がろうそくの火をつけて電気を消したら
めっちゃめちゃロマンティックで私はすっかり
秋杜との罪悪感がぶっ飛んでいた。
まーくんからのプレゼントは香水だった。
可愛い小さな箱はとっても高そうだった。
「つけてみて・・・」まーくんが囁いた。
「うん……。」まーくんが香水をすこしとって私の耳たぶの裏側につけた。
いい香りが鼻にひろがって私は少し大人になった気がした。
その香りをかぎにくるように
まーくんが私の耳に顔を近づけた。
「後悔しないか?」かすれた声で囁いた。
「うん……。」私はうなずいて まーくんにしがみついた。
とうとう私は大人になるんだ…私の…私の生きてる場所で……
まーくんは 私を静かにソファーに押し倒した。