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もう頼るのは一世さんしかいなかった。

課長には言わないでと頼んで 一世さんに症状を話した。



「私が行っていた病院一緒に行ってみましょう。」そう言ってくれて



私は仕事を休んで 一世さんの車の中にいる。



「ご飯食べれないの?」



「昨日の朝から…お腹すごくすいてるのに匂いがダメで……。」



「顔色悪いし…やつれてるもの……。」



「まさか…とは思ってるんですが……どう思いますか。」



一世さんは複雑な顔をした。



「私の経験からいって…妊娠の可能性は高いけど……

食事がとれないのは大変なことだから病院にはいった方がいいわ。

どっちにしても安心でしょ?

私がチビ達産んだ病院だから 先生も優しいし…まずは結果を待ちましょう。」



「・・・・はい・・・」



不安で一杯だった。

きれいな病院だった。


お腹の大きな妊婦さんが幸せそうな顔をして待合室に座っている。



  どうしよう……



名前を呼ばれて 尿をとって 一世さんの隣に座った。



「彼には言ってあるの?」



「いま修学旅行で……それに…まさかって……」



「そう……。じゃあもし結果が出たらちゃんと話しなさい。

なんでもなかったらこれからこんな思いをしないように彼にも

ちゃんと避妊してもらうように しっかり話合いなさい。

そしてもし…そうだったら

どうするのかよく考えて…赤ちゃんはすぐに大きくなるわ。

それが愛してる人の子供ならなおさらでしょう?

一人で抱え込んじゃダメ。

二人で解決しなさいね。」



一世さんは厳しい顔をして私に言った。



「まだ産めないって思うなら ちゃんと避妊しなさい。

それは若いとかそんなことで片づけられないのよ。

命なんだからね。春湖ちゃんもちゃんとしなきゃダメよ。」



「はい…」身がひきしまった。




名前を呼ばれて診察室にはいった。



「平野 春湖 さんですね。」



「はい。」



カルテを見て 先生が微笑んだ。




「おめでとうございます。妊娠してますよ。」



頭が真っ白になった。

先生が何を言ってるのか集中しないと聞こえない……。




「来年の6月が出産予定です。」




  来年・・・6月・・・って・・・・




「つわりの症状がひどいらしいね。

点滴して行こうか……。薬も出しておくけどもしかしてまだ辛かったら

入院して点滴して行きましょう。あさってでもまた来られるかな?

その時 おとうさんも一緒に連れて来て下さい。」



「はい…」そう答えるのがやっとだった。




  妊娠・・・・来年生れる・・・



頭の中でその言葉が 渦巻いた。



診察室を出て顔をおさえた。




  どうしよう………だって……ムリじゃん……




恐る恐るお腹をおさえた。



  まだ…早いよ……。



私は不安に押しつぶされそうになっていた。

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