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不安な気持ちをおさえきれなかった。
お腹がすいているけど食べる気にもならなくて
ただボーっとしている。
携帯が鳴った。
秋杜の顔が映し出された。
「帰って来たか?」
「うん~今日 写メくれてないよ~」
「俺が感動したとこ…まだいってないから~」
「秋杜を感動させるとこって早くみたいな~」
「浮気してないよな~」
「へ?あはは…してたらこんなに早く帰ってきませんって~」
「会いたくて気がおかしくなる……」
秋杜は小さな声でつぶやいた。
うれしくて……
「バカ……誰かに聞かれたらどうする気?」
「いいよ…早く帰りて~~ぇ ~~」
「私も……早く会いたいよ……もう寂しくて気が狂いそう~」
「マジ?マジに?」秋杜が嬉しそうに言った。
「早く…会いたい……。一人で寝るの寂しいもん……。」
「ふえ~~春湖~~そんなこと言うと5日分また襲うぞ!!」
「え?前倒しで襲われたのに?」
「誕生日の夜はずっと寝かさないから体調整えておけよ。
じゃあな~また電話する」
電話は切れた。
嬉しくて…幸せで熱っぽい体がまたさらに熱くなった。
体調整えておけよ~
病院……行ってみよう……
いつも不安定だけど 今も いつもの生理前と同じ胸の張り方だし……
きっと風邪だわ……お腹の風邪
お腹がいきなり キュ~~~ゥと空腹感でしめつけられた。
「昼食べてないからな~~とにかくご飯食べよう~~」
野菜とお肉をいためて
冷凍していたご飯をいつものように温めた。
おかずを皿に盛り付けて
温まったご飯のサランラップをとった瞬間
「う…っ……」
いきなりの吐き気にシンクに顔を埋めた。
空吐きの苦しさで涙と鼻水が一緒に出た。
しばらく戦って……やっと落ちついた。
なんなの…いったい……
また食事がとれなかった。
お腹がすいてるのに 匂いを嗅ぐだけで胸が悪くなる。
よくテレビで見る 妊娠初期の映像と自分が重なった。
「秋杜……どうしよう……私……」不安で胸が押しつぶされそうだった。
お腹を撫ぜる
「違うよね~?ここにいないよね?
お願い……今度は絶対気をつけるから……まだ…まだ…ムリだよ……。」
大好きな人の赤ちゃんがどうか
ここにまだ…宿ってませんように……私はそう祈った。