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朝 起きてきた秋杜が萌からの手紙を見せてくれた。


萌の最後の言葉は 秋杜にとっては……後悔はないのだろうか

それとも後悔をしているのだろうか



今の秋杜は後悔をしている気がした。



「秋杜…萌ちゃん頑張ったんだね……。」



「俺…結局 春湖にも萌にも悲しい想いさせて…何ができたんだろう……。」




私は秋杜を抱きしめた。



「俺さ…萌の前で偽善者だったんだよね……。

偽善者だから萌の前でいい顔して だけど心の中は春湖を求めていた

そんな俺の汚さを萌はわかってたんだ。

病気で苦しんでる萌を…俺は一緒にいても

違う意味で苦しませていたんだ……。

何やってんだ…自己満足で悩み多き男に酔って……。」



「そんなこと言わないで……。

秋杜じゃなくても…もし私が秋杜だったら

私もそうしていたと思う。

萌ちゃんがありがとうって言ってるじゃん……。

その言葉を受け入れてあげようよ……。

秋杜を責めるための手紙じゃないんだよ

ありがとうって萌ちゃんが言ってるんだよ。」



秋杜の背中を少し強めに叩いた。



「しっかりしなさいよ秋杜……。

あの時 あんたが選んだんだよ。

私だって傷ついたんだよ。

それでも秋杜が好きだから…秋杜の選んだ道を見守って来たんだよ。

だから後悔しないでよ……。

あの時の自分が無駄だったって思いたくないから…。」




秋杜は何も答えなかった。



しばらく秋杜は少しボーっとすることが多くなった。



「秋杜?聞いてる?」



「あ…うん聞いてるよ……。」



萌の死が秋杜に与えたショックは思った以上に強かった。




  私は何ができるんだろうね……。


身近にいた人の死という永遠の別れを

16歳の秋杜が受け止めるのはあまりにも過酷かもしれない。



私はただ 秋杜を抱きしめて朝を迎えるしかないけど

せめて寝てる間だけでも



秋杜の夢が楽しい夢であるように……。



私は静かに秋杜を抱きしめるそんな日々が続いていた。





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