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楽しい時間を過ごした。
秋杜以外の人間と会って話すのはひさしぶりだった。
その中で光太郎に対しての愛情を感じながら 私は温かい気持ちになった。
口では罵ったりしてるけど 心の中では愛に溢れてて
そういう愛情をもらって光太郎はきっと魅力ある人間なんだろうと思った。
そんな時だった。
幸子さんの携帯が鳴って それは社長の奥さまからだった。
光太郎が家に戻っくるということで 三人にすぐに来てという電話だった。
私も一世さんの車に乗って社長の家に向かった。
社長の奥さまも私を見つけると手をとって
「ごめんなさいね…」と何度も謝ってくれた。
「女二人の下の男の子ってことでね…甘やかせていたから…
自分勝手で自分が一番だって思ってるところがあるから。」
秋杜と似てる……
光太郎に魅かれた理由がそこにあるんだと私は初めて気がついた。
「それであいつは突然 またどうしたの?」
「話したいことがあるって……」
「いつも突然だからね……あの子は……。」
「おかあさんが甘やかせたからよ~」
幸子さん美子さんは笑いながらそう言った。
しばらくして 光太郎がやってきた。
「とうさん何時頃帰ってくる?とうさんにも話したいんだけど・・・」
喋りながらサングラスをとってリビングに入って来た。
「春湖!!」
「こんにちわ……。」
「会いたかったんだ……。ごめんな…とんでもないことになって……。
大丈夫だったか?ごめんな俺のせいで・・・・。
彼氏……大丈夫だったか?喧嘩してないか?」
「大丈夫よ。」私が言うと
「マジ落ちこんだ……。あそこまで嘘書くんだな……。
そしてそれを信じ込む奴がいるって怖いことだよ。」
「だからいつも言ってるでしょう
あんたには自覚が足りないって!!」おねえさんたちに突っ込まれた光太郎が気の毒だった。
「うっさいな~俺だって今回のことは反省してるし
ちょっと二人にしてほしいな~春湖俺の部屋に来て。」
「いいから!!先に何の話なのか言いなさいよ!!」
「とうさん帰ってくるんだろ
それから話すよ……夕飯頼むわ~~~春湖行こう。」
光太郎が私の手を引いた。
バッシン!!!
光太郎の手を美子さんが叩いた。
「触るんじゃない!!そういうことするから噂になったんでしょ?」
「いて~~な!!はいはい……」
光太郎は私の手を離して
「行こう」と言ったから私も立ち上がった。
「何かされそうになったら携帯に電話してよ。」一世さんが笑った。
「しねーよ!!バーカ!!」
光太郎がエレベーターを閉めた。