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それから一週間近くたったある日のことだった。


朝 用意をしながらテレビを見てて私は 愕然となった。



それは芸能ニュースでのことだった。


「あの人気俳優に熱愛の噂~驚きましたね。」

アナウンサーの言葉に私は 誰だ 誰だ と身を乗り出した。



「ルイトさんが熱愛と本日発売の週刊誌がスクープです。」



  ルイト・・・・?


心臓がドキドキして私は息をのんだ。



秋杜がシャワーから出てきていつものように牛乳を冷蔵庫から出した。



「お相手は……老舗デパートにお勤めする二十歳の一般の女性で

記事には数枚 デートの写真や温泉でのツーショットが掲載されています。

写真は北海道ですね~~中山の道の駅や有名温泉での様子が伝えられています。

私もさっき記事を見ましたが 仲むつまじい様子が書かれてましたね。」



私は体が震えた。

 

  もしかして…私?


秋杜が私の様子に気づいて 不思議そうに見ている。



「ルイトさんと言えば 今大人気ですから これはしばらく大変な騒ぎになりますね~」



  嘘でしょう……?



ソワソワして立ちあがって秋杜と目があった。



携帯が鳴って慌てて電話をとると 一世さんからだった。



「春湖ちゃん!!見た?テレビ……。」



「あ…今…今見たんですけど……」



「ごめんね~~~私たちが一緒なのに…どうしよう……。

二人っきりの温泉旅行とか嘘ばっか書いてあるみたいなの。

今 おじさまからも電話がきて 状況は説明したんだけど……

春湖ちゃんに迷惑かけちゃうから…ほんと軽率だったわ……。

あのバカも全然自覚ないから……本当にごめんなさい!!」



「そんな…一世さんや課長のせいじゃないです……。

私も…もっと気をつければよかったのに……。」



秋杜が後を通り過ぎて行った。



  このこと知ったら秋杜はなんて思うのかな……



外に出るのが怖かった。


それが私とばれるのかばれないのか……

人の目が気になっていたたまれなかった。



地下鉄のつり下げに 本日発売の例の週刊誌がかかっていた。




『イケメン俳優 雪も溶かす熱い抱擁』

お相手は地元老舗デパートの美人受付嬢



  こんな…こんな書かれ方して……



私は急に怖くなってきた。


私だって特定されるんじゃないだろうか…

受付嬢なんて限られたところにしかいないじゃない……。



足が重かった。



仕事場に入るとすぐに上司に呼ばれて



「今日からしばらく 休みなさいと社長から言われたんだけど……

何かあったの?」



怪訝な顔で言われた。


私は首をかしげて


「いや…ちょっと……わかりません。」と流した。




ロッカールームでまた私服に着替えてると向こう側から声がした。



「見た?もうめっちゃショックなんだけど~~ルイト!!」



「あ~~デパガのやつでしょう?地元の老舗受付嬢ってさ…うちだって

老舗だよね~まさかうちじゃないよね!?」



「うちにもいるじゃん一人若い可愛い子~~年頃もそうじゃなかった?」


盛り上がる会話に恐怖感を感じて 私は慌てて服を着替えた。

出勤してきてみんな制服に着替えてるのに私は私服でロッカールームを

飛び出して非常階段で一階まで降りる。



言葉の恐怖で体が震える。



  怖いよ・・・・・・。



もう地下鉄に乗れなかった。外に出てすぐに私はタクシーに乗って

家の近くのコンビニによって 週刊誌を買った。




  どうしよう…私だってわかったら……



それは時間の問題だった。

ルイトの父親がうちの社長なことも書いてあって名前こそは出さないけど

わかる人にはわかるだろう…。



写真は私のあげいもを奪い取ってるルイト と 温泉で浴衣姿で二人で歩く写真


それからその時の様子が事細かく書かれていた。

課長家族もいたのに二人っきりの旅行と……たまたま帰省していた記者が

中山でルイトに気がついて尾行していたと書かれていた。



尾行したなら 課長家族もいること知ってるだろうに……

そこには一切触れていなかった。



  これからどうなるの…?



私は鍵をしめてカーテンを閉めた。



薄暗くなった部屋でただ……怖くて不安に押しつぶされそうになっていた。



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