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玄関の前で私は深呼吸した。



ここからは現実…光太郎たちに守られていた時間は終わった。


勢いよくドアを開けたけど家の中は真っ暗で

秋杜の靴もなかった。


 今日は学校だったから…まっすぐ萌のとこに行ったのかな


リビングに入って 昨日私に用意してくれていたシチューは冷蔵庫に入ってたから

あのあと秋杜は戻ってきたのがわかった。


  萌とはどうなったんだろう



しばらくして音がした。

私は慌てて玄関に飛び出したら 秋杜がうつむき加減で家に入って来た。



「おかえり・・・・」



「うん……」ものすごく機嫌の悪い声だった。



私の横を勢いよく通り過ぎようとした時 一瞬顔が見えて私は驚いた。



「血…血がでてるよ!!どうしたの!?喧嘩したの!?」


秋杜の腕を掴んで顔を覗き込んだ。


唇が切れて血が出ていた。



「大丈夫!?」



「臭いって……!!」秋杜が手を払いのけた。



「え?」



「タバコくせー!!触んな!!」



思わず力が抜けて 秋杜の腕を離した。



「俺にかまうな……」秋杜はそう言い残して二階に駆け上がった。




泣かないって思ってたのに涙が落ちた。


いつもの口げんかでしかすぎなにのに……昔なら負けじと次の言葉を探して

延々と喧嘩してたあの頃がなつかしかった。



秋杜を好きになるほど自分の心がガラス細工にでも変わったのかな

壊れやすくて…傷つきやすくて……



あの頃の関係に…戻れない……

あの唇を合わせた瞬間にもう……終わってしまったのかもしれない。



「ビールでも飲もう!!」


運転する一世さんに気をつかって今日はまだ 飲んでなかった。




「今日は楽しかったな~~」自分に言い聞かせる。



ソファーに座って見たくもないテレビをつけた。



一気に缶ビールを二本開けて……途中で秋杜が風呂に入ってくる気配を感じながら

知らない振りしてテレビに見入った。




ルイトのCMが流れて 私はテレビの前に移動した。

さっきまで一緒にいたなんて…夢みたい……。



いつもの台詞にまた答える私


「俺のとこ…来いよ……」



「ありがとう……ルイトのテレビで我慢する……。」




アップの画面に抱きついた。



  かなり酔ってるぞ~~



「ルイト~~~ォ~頑張るから~~~」




CMが終わって 私は体を離した。



「フ――――ーッ」大きくため息をついてソファーに戻ろうとしたら

キッチンで牛乳を飲もうとしてる秋杜と目があった。



秋杜は私を 不思議な顔で見ていたけど気がついたように目をそらした。



「あはは~~はは」私は笑うしかない。



秋杜の唇は少し腫れて青くなっていた。



  どうして喧嘩なんかしたんだろ……

  萌のことでいらついてたのかな……



「酔っ払っちゃったかな~寝るか~~」



本当に酔っ払っていた。

すきっぱらに缶ビール一気に二本はちょっと・・・・だったかな~



うまく歩けなかった。


  秋杜の前で…マズイ……


と焦るも 私はかなり酔っていて歩き出した瞬間 目の前が揺れている。



二階に上がる階段までなんとかたどり着いて

階段を登ろうとした時 体がふわりと持ちあがった。



「え・・・・」



「くせーなー今度は酒か?大人はいいよな~」秋杜の顔がアップになった。



「いいよ。自分で行けるから!!」



「そんな調子だったら階段から落ちるし……」



「いいよ…落ちたって…死んじゃえばいいのよ……」



「バカ言うな……」



秋杜の唇が青く腫れあがっていた。

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