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「春湖のすっぴんめっちゃ可愛いやん~」
光太郎と途中でホールで会った。
「ちょ…っと光太郎
あんたもすっぴんやばいでしょ……
完璧にオーラー出てるから……」
一世さんの言った通り 遠巻きで人がこちらを見ていた。
「もう・・・いいよ。
そんなこと言ったら俺なんて風呂でだって熱い視線感じてたよ。
チビ係だもん…隠すこともせずに追っかけてさ~。」
「それはそうだけど……ね……。」
私はちょっと想像して下を向いた。
「今 想像した?やらしーな~春湖~~!!」
光太郎が大きな声を出したから
一世さんが背中を叩いた。
「もう…そういうとこに自覚がないんだから~~
一応芸能人なんだからね。」
「はいはい~~ちっこい方が泣きやまないからとしさん
早くいっちゃん帰って来ないかなって言ってたよ。」
「ちっこい方とかチビとかね…いつになったら名前で呼ぶの?」
「だって…たくさんいるからわかんないんだもん……」
一世さんと話す時光太郎はとても子供っぽくなるんだ……。
私といるときは大人だなって思うことが多いんだけど……
「それを早く言いなさいよ~~
春湖ちゃん先行ってるから 光太郎に冷たいもの買ってもらって~」
そう言って一世さんは大慌てで走り出した。
「まったく…いっちゃんはとしさんのことになるといっつも
あれだからね~~」
「素敵なご夫婦だわ…憧れる……。」
「うん…俺もひそかに憧れてる~」
光太郎は 大きな売店で人数分の カップアイスと
私は子供が喜びそうなお菓子とジュースを持って
レジに並んでると
「あの…ルイトさんですか?」ととうとう 声をかけられた。
「あ…はい…」光太郎の顔がルイトに変わった。
「キャー!!」黄色い声がして 人が一斉にこっちを注目したから
私は他人のような顔を慌ててした。
「写真とっていいですか?」
「ごめんね。プライベートだから…握手でいい?」
「あ…わかりました~お願いします~~」
若い女の子が二人ルイトと握手をしてると 人が集まってきて
あちらこちらから黄色い声がした。
もう会計ところじゃないから私はそれを籠に入れて
一緒に会計をした。
囲まれてるルイトが私に気づいて
「じゃあ・・・」と人だかりに手を振った。
「キャーー!!!」大歓声・・・・・
だってテレビで見る人気の芸能人が 温泉の浴衣を着て歩いてる。
頭はボサボサだけどそれはそれで素敵で
浴衣の間からは鍛えられた胸筋が見えている。
やっぱ違う・・・・
光太郎はいつも親しみやすいけど
ルイトはやっぱ違う世界の人だった。
「悪いな~アイス あとで清算して~~」ルイトが言った。
バカ…一緒なのばれて誤解されるじゃん!!
私は足早に知らない人のふりをしてエレベーターに向かって小走りをしたら
「待てよ~~」
そういって大股でルイトがやってきた。
「バカ…ばれちゃううじゃん……」私は気が気じゃなかった。
自覚薄すぎ!!
エレベーターのドアが開いて慌てて乗りこんでドア閉めのボタンを押した。
締まりかけたドアをやぶってルイトが入ってきてドアは閉まった。
「何よ~~意地悪だな~~」
そうじゃないでしょ…わかってない?
「春湖のほっぺピンク色で…めっちゃ可愛いな~」
能天気な光太郎に思わず吹き出してしまった。