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次の日は朝早くから起きて 一世さんとおにぎりを握った。
昨日のことを一つも思いだすことなく
私はこの温かい中にいた。
途中の道の駅で車を降りて チビちゃんのトイレタイム
それからここの名物あげいもを光太郎が買ってくれて
私は 雪の帽子をかぶった美しい羊蹄山を見ながら
その大きないもを頬張った。
「おいしい~~」
「やっぱあげいもはここだよな~」
光太郎もハフハフ言いながらいもを頬張った。
「まさか今日の小旅行に春湖が参加とは思わなかったな。」
「それは私もです。」
「春湖ちゃん~ソフトクリームも寒いけど美味しいよ~」
一世さんが持ってきてくれた。
「俺の分は?」
「あ~忘れてたわ~~」そう言うと一世さんは手を振って車に戻って行った。
「ケチだな~~」
私が笑いながらソフトをなめていると
「あれ!!なんだ?」の言葉に反応してる間に
光太郎が半分かじってしまった。
「光太郎さん~~」
「うめ~~ぇ~でも…さぶ~~~ぅ~」
口の周りをアイスだらけにして光太郎が笑った。
それから山間の温泉に行って 和室を頼んだ。
チビちゃんたちは男性軍が入れてくれるというから
一世さんとゆっくり温泉につかる。
「大丈夫?春湖ちゃん……」
「はい…今はすごく落ち着いてます。
ありがたいと思ってます。」
「そんなことはいいのよ。
ただ……これからどうするの?大丈夫?」
「はい…よく考えます。
悔いのないように……少し素直になってみます。
光太郎さんにも言われました。」
「そっか~~あいつも素直じゃなくて後悔派だからね……。」
「そうなんですか……。」
「わがままで甘えん坊で王子さまみたいなとこあるからね……
好きな子にあまえすぎてて 呆れられちゃったんだね……。」
「失恋したってその人なんですね。」
「マネージャーだったの彼女 だからタレントと恋するのはご法度でしょ。
秘密の恋だったから……余計に疲れたんじゃないかな。」
「その人はまだマネージャーしてるんですか?」
「担当替えを会社に訴えて 今は若い女優さんのマネージャーしてるみたい。」
「かわいそうに……。」
「いいのよ だって光太郎はずい分大人になったから。
いつまでもそこにいちゃダメなんだと思うわ。
好きだから突き放す…彼女はそんな気持ちだったんだと思う。
彼女から離れたルイトは仕事で輝き始めたから……きっと
あの子ならそんな光太郎を見て喜んでる気がするわ。」
光太郎が荒れていたあの日
詳しくは知らなかったけど いろいろ辛いことがあったんだ……。
「私も…頑張らなきゃ~~」
「そうよ。頑張って~~
春湖ちゃんはまだ若くてキレイなんだからね。
まだまだこれからよ。
私だってたくさん悩んで泣いてそして…今こうして彼と出会って
家族を築いている……いろんなことあっても
結局最後は決まってるのよ運命なんだから……。」
「はい。本当にありがとうございました。」
露天風呂には雪が舞っている。
「さてさて…男性軍はどうしてるかな~~~」
一世さんの声が響いた。