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恋人になって初めての クリスマスイブ
春湖はきっとガッカリするだろうな……。
萌のことは気にしてないって言ったけど…きっと
気にしてるのはわかっている。
なかなか言い出せずに…言葉が見つからなくて結局俺が春湖に言ったのは
クリスマスを目の前にした日だった。
友達と・・・・
そう言うと春湖は一瞬困惑してたけど すぐに快諾してくれた。
信じてるから
そんな目をしてみる春湖に俺は本当のことを言えずにいた。
一日だけ…クリスマスは一緒だから
俺はすごい罪悪感の中 萌の家に向かった。
萌の母親が出てきて
「来てくれたの?ありがとうね。」と言った。
俺はデコレーションケーキを差し出して
「これ…一緒に後で 食べましょう。」と言ったら
萌の母親は嬉しそうに
「ありがとう。萌 喜ぶわ。」と言った。
「萌さんは?」
「ごめんね…まだ寝てるんだよね…ちょっと見てくるわ。」
しばらくして母親が降りてきて
「なんか体調が悪くてね…最近……」暗い顔で言った。
じゃ・・・俺・・・今日はいいのかな
少しずるい事を考えていたけど
「秋杜~~いいよ~上がってきて~~」萌の声がした。
少しガッカリした。
「萌 今日もう一回病院に行こうよ。」母親が言うと
「やだ。秋杜が来てるのに…行きたくない……」
「だってあなた熱があるでしょ?パパも心配してるし……」
「具合悪いなら 俺今日は帰ります。」
俺は少しホッとしてそう言った。
「やだ~~!!ママ~~今日は萌の誕生日でしょ!!
好きにさせてよ。」萌はすごい金切り声をあげて俺はビックリした。
「秋杜くん…ごめん…萌のことよろしくね……。」
萌の母親は悲しそうな顔をした。
「わかりました。」
俺は覚悟を決めて ニ階の萌の部屋に入った。
萌はピンク色の可愛いヒラヒラのパジャマを着て
その上に真っ赤なカーティガンを着ていた。
「すごい乙女チックな格好だな~~それにさ
パジャマとかさ…大丈夫なのか?」
「ごめん…大丈夫じゃない……」萌はベットにもぐりこんだ。
「じゃあ病院行こうよ。」
「やだ…病院行ったらすぐに帰れないから……」
萌の顔色が悪くて俺は驚いた。
目の下が青くなっていた。
「どうせ…病院行ったらもう…帰って来れないもん……。
わかってるんだもん……。もう…最後なんだって……。」
萌の口から出た言葉に俺は言葉を失っていた。