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ここ最近 萌も休みがちだった。

俺たちはクラスが離れてるから 萌が俺のところに来ない限りは

顔を合わせない日もあったから


そして俺自身 萌を避けていたから

会わないことをいいことにしていた。



俺が車にひかれた次の日に 萌は家に来て

めちゃめちゃ泣いた。



「秋杜が…秋杜がいなくなったら…私死ぬから……

もう頑張るのやめる……」



そう言って泣いた。



俺はその言葉に 少し…警戒していた。



  もしかして……いや…それはないよな……



だって…俺ら…親友だもんな……



そう言い聞かせても俺はなんだか…奥歯に何かはさまった嫌な気がしてた。


だから萌を少し避けていたのかもしれない。




萌のクラスに行くと 教室に萌はいなかった。



「萌は?いる?」

出てきた女子に聞いた。


「萌?最近休んでるけど……新居くん彼氏なんでしょ?何で知らないの?」



「え?彼氏って?」



「萌が言ってたもん……。」



「そ・・・そっか・・・・」慌てた。

なんで萌がそんなこと言ったのかはわからなかったけど

萌の顔をつぶすのも悪いと思ったから 曖昧にその場を離れた。



  休んでるんだ……。



最近萌からそう言えばメールも来ていない。



電話をしたけど出なかった。

とりあえず 萌の家の前まで行ってインターフォンを押すか悩んで

だけどやっぱ帰ろうと思った時

萌の母親の車が停まって後部座席から 


「キャー秋杜~~」という甲高い声で萌が飛び出してきた。




「どうしたの?来てくれるなんてめっちゃうれしい~~」


萌の屈託のない笑顔に 罪悪感を感じたけど



「休んでるって言うから どうしたのかなって……

最近メールも来なかったし。」

俺が言うと



「だって…最近 秋杜変だったから…なんか…遠慮してたの……。」




  やっぱわかってたんだ……



「入って行ったら?」萌の母が言った。



「あ…いえ…今日は帰らないと……」家に入るわけにはいかない。



「いいじゃん~~ひさしぶりだしちょっとだけ…ね?

なんか話もあったんじゃないの?」




「あ…まぁ・・・・・」


萌は俺の手を引いて 家に招き入れた。



「どうしたの?なんか話あったんでしょ?」



「うん…。実は……実はさ……。」俺は息を一回おおきく吸って吐いた。



「おまえにも心配かけたけど俺 春湖と…付き合うことができたんだ。」



「え…………?」コートをかけていた萌の手が止まった。



俺の心臓もちょっと止まりかけた。



「あのさ…春湖も俺のこと好きだったって……

俺の片想いは途中から両想いだったんだって……バカみたいだろ俺……」


わざとに能天気に言った。



しばらくして萌が



「よかったね~~秋杜~~~。ビックリしたよ~~~

もっと早く教えてくれたらいいのに……」と言った。



「なんかさ~~恥ずかしくてさ~~」



「なんで~~あはは~~あ…そうだ~~じゃあ今年だけ約束の

誕生日予約済みだったのだけ…いい?」


誕生日のこと忘れていた。

でも約束は確かだったから

「いいよ。」と言った。



「秋杜に彼女ができたから…もうこれ最後にするから…優先してね。」



「約束だったからな~~俺の誕生日もやってくれたし

いい誕生日にするように頑張るよ~~またカラオケにでも行くか?

やつら誘って~~」



萌は首をブンブン振った。



「秋杜だけいればいいから……」



「俺だけでいいの?」



萌はうなずいた。



「うちの誕生日は24日だからね……。

優先予約だったから……よろしく~~~」萌は笑った。




「え……24日……」俺が困惑してると



「これが最後だから絶対に譲れないから……。」


萌の顔は真顔だった……。



「約束したでしょ?秋杜……。」



「わかったよ。」その迫力に俺はそう言うしかなかった。

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