013
開け慣れた玄関を開けた。
よく行き来した 秋杜の家にひさしぶりに足を踏み入れた。
「秋杜~~秋杜~~~」
小さい声で秋杜を呼んだ。
シ~~~~ン
静かな家の中が怖い……。
おそるおそるニ階に登って
「秋杜~~~!!」今度は大きな声を出した。
一番奥の秋杜の部屋を思いっきり何度もノックして少し待って
「入るからね~」と部屋に入った。
「ね~~!!由美ちゃんが心配してるじゃん。
電話くらいでなさいよね。」
机の上にあった子機を枕元に置いた。
「秋杜?どうしたの?」
「ん~~……」秋杜の声が苦しそうだった。
私は秋杜の額に手を置くとひどい熱なのに気がついた。
「あ…っちぃ!!
いったい熱何度あるの?」
私は体温計を脇にはさめてさせてしばらく待った。
ピピピ・・・
恐る恐る見てみると9度8分もあって私はパニくった。
「え~~~どうしよう~~~」
由美ちゃんに電話をかけて様子をつたえた。
「春湖 悪いんだけど頭ひやしてやってくれる?
それから・・・・」
時間ないんですけど……
下に降りてアイスノンをタオルで巻いて秋杜の頭を支えて
しいてやった。
「病院行く?」
「行か・・・ね…ぇ……よ…」
「だって・・・すごい熱だし……」
「いいって…寝てたら治るから……かあちゃんに……
そうやって…言っていいから……。
寝てんだから…電話…してくんなって……。」
真っ赤な顔でそう言った。
「だって……。」私が困っていると
「おまえも早く帰れよ。用事あんだろ?」と布団をかぶった。
そうよ…大事な用事があんのよ……
「いいって…ねてれば…いいんだから……。
おまえがいたって熱が下がるわけないんだ…ハァ…ハァ…」
こんな時でも生意気なんだからさ……
「わかったわよ…じゃあ私行くからね…。
相変わらず可愛くないんだから せっかく心配してやってんのに…
ガキなんだからもっと素直になりなさいよ。」
「おまえと…ハァ…ハァ…遊んでる気分じゃねー」
布団を完全にかぶって背中を向けた。
「も~~~~~ぅ!!めっちゃムカつく!!!」
私はドアをバン!!!と閉めて 階段を音を立てて降りて 玄関のドアを閉めて
鍵をかけた。
「クソガキ!!もう絶対に知らないから!!!」
なんなのよ…なんなのよ…あの口のきき方
一瞬でもなんかしてあげたいなんて 母性本能なんか出しちゃって…
「あ”~~~~もう~~~」私は腹が立って仕方がなかった。
家の前の街路樹を蹴りあげた。
その時 スーッと車の音がした。
「まーくん!?」
「ちょうどよかった。乗って。」助手席のドアを開けてくれた。
「もう時間だった?」私はあまりに驚いて動揺してる。
「10分前だよ。これから公園向かってと思ってたんだ。」
まーくんの笑顔がめちゃめちゃ優しくて一気に癒された。
ほんと…あいつとは大違いだい!!!
私は 大人になる予定時間に少しづつ近づいていく……。