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  俺・・・・どうしたんだ・・・


頭の中がぼんやりしてる



  死んだのか?



それはない!!春湖を抱きしめるんだから……

必死に目を開けようとしていたら


泣き声が聞こえてきた。

うっすらと目を開けると


救急隊員と知らないおばさんと春湖が

俺を見ている。



「秋杜!!秋杜!!」春湖の目から一杯滴が零れ落ちている。



  待てよ……


ここで起きるのも恥ずかしいからとりあえず…ここは気を失ったふりで……



春湖が俺を心配して泣いてくれるのが嬉しかった。



「秋杜~~秋杜~~~」



  もっと俺の名前 呼んでよ春湖……


それから俺の両親に連絡してる声を聞きながら


  おおごとになりそうだな


わざとに目を開けない俺の罰か・・・・・。



病院に入って少し怖くなった。

何をされるんだろう・・・・


「そんなにひどいけがでもなさそうだな。

念のため検査だけしておこう。」




いろんな部屋にベットごとひきずられていった。

さすがにもう目を覚まそうかと思ったら



「廊下の女の子に大丈夫なの伝えてこないとな~

可哀そうに すごく心配してたから……」



先生らしき男の人の声



「ずっと泣いてましたよ。

何事もなくてよかったですね。」たぶん看護師がそう言った。



しばらくしてドアが開く音がした。


春湖の震えた声が聞こえて 看護師と会話をした。



「よかった…よかった…」春湖の声は今にも泣き出しそうで

俺は悪いことしちゃったなと思った。





足音はゆっくり近づいてきて俺の腕に顔を埋めて泣きだした。


春湖は俺に意識がないはずだと知ってるのに俺に語りかける。

そろそろ目を覚まそうとしたけど

春湖の言葉があまりに嬉しくて ここで目を覚ますのはもったいない気分になっていた。



罪悪感で一杯の春湖に

あとできちんと

ちゃんと謝ってゆるしてもらわないと……



春湖の涙が俺の体温で溶けて行く


  愛しい・・・・


俺は自分が春湖をどんだけ深く愛してることを、また痛感する。



春湖が近づいてきて息が俺にかかった。

俺は慌てて寝息を立ててみる。



そして信じられない言葉が聞こえた。



その言葉はまるで 愛の告白のように聞こえて

俺の心臓は飛びだしそうだった。



春湖の指が俺の唇に触れて 俺はもうこの状態が限界に来てることを覚悟した。




春湖が言いかけて 俺が目を開けると

春湖の顔が俺のまん前にあった。



「キャ……」春湖が驚いて俺から離れようとした背中を抱きしめた。




  いいんだよな……



俺は春湖の背中を自分の方に押し戻して

涙で濡れた唇にキスをした・・・・・・。



愛しい唇



もしかして俺の 勘違いだったのかと心配したけど

春湖は俺のキスに応じていたから・・・・


俺はそのまま春湖の唇に 触れ続けた。

唇は最初乾いていたのに 春湖の濡れた唇と重なり合うたびに

命を吹きかえして行くようだった。



  愛してるよ 俺のものだ……



春湖と心が一つになった……感動と興奮が忘れられない……。


長い長い片想いだった・・・・

でも・・・春湖も……俺を愛してくれていたって知った時

俺はやっぱりガキだったんだなって恥ずかしくなる。



春湖が俺のキスに反応するたびに

今まで俺……何してたんだろっておかしくなった。

それから…俺たちは何度も何度もキスをして

すれ違ってきた時間を埋めるように唇を合わせた。



甘い言葉と 熱いキスは 長い片想いをしてきた俺への 神様からの報酬だと思った。



途中 騒がしく邪魔(両親)が入って体が離れてしまったけど

俺はなかなか眠れなかった。



いろんなすれ違いにも 今では感謝した。



やっと春湖と…心が通じ合った長い夜だった。

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