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萌を連れて 家に帰ると 春湖はいなかった。
どこか出かけてるのか
萌を会わせて 萌のおかげで少しまともな学校生活を送ってることを
春湖に話してみよう。
自分の生れてきた世代を恨んで ずっと孤独だった。
友達がいなくても 平気だった。
でも…本当は違うんだ…
孤独だった・・・・
毎日がつまらなかった。
萌と出会って ペースに巻き込まれて
友達ができて
俺…誕生日もすごく楽しかった。
学校でも人と話すことが増えて 少しづつ自分が見えてきてる。
春湖に近づきたい焦り
春湖に見てほしくて背伸びしている俺
だけど…本当はかなり必死だったりする
本当の俺・・・・・
萌としばらく学校の教科担任の話で盛り上がってると
春湖が顔を出した。
春湖は美容室に行ったようで
また更に美しく見えた。
萌を紹介して 春湖がニッコリと笑って挨拶した。
途中 怖いおねえさんと萌が余計な事を言ったから
俺は慌てたけど 春湖の表情は変わらなかった。
春湖の変身が眩しくて
髪型を変えたことを言うと 春湖がすごく嬉しそうに笑った。
春湖はやっぱいい女だな~
思わずしばらく見とれていた。
「遅くならないように送って言ってあげて。」春湖は笑顔でそう言ったから
少しも嫉妬もなし…か~
俺の気持ちに気づいたのか 萌が複雑な顔をしていたけど
すぐにいつもの能天気にふざけて笑った。
かっこわり~
萌にまで俺 同情されてるから・・・・・・。
家を出た萌が いきなり怒りだした。
「なんなのあの人!!」
「え?なに?いきなり・・・・」
「あの人 絶対秋杜のことなんて何とも思ってないから~
秋杜ももうあきらめなよ。
時間の無駄 人生の修正しなさいよ。」
「ハッキリ言うなよ……。
俺はそんなこともう何百回も思ってるって……。」
「なんかムカつく!!」
「そんな…ムカつかれても……。」
「ずるいよあの人。なんか秋杜を利用してるじゃん。
好きにさせてきっと楽しんでる。
秋杜がずっとずっと真面目に片想いしてるのに それを弄んでるんだわ。」
「・・・なことねーよ・・・。
そう言われれば俺が勝手に想い込んでるだけで……
いつも春湖には好きな男もいたし…
それでも…俺が春湖をあきらめられないだけだ。」
萌の前では素直な心を言える。
「情けないわね!!ちょっと付き合ってよ。
いいでしょ!!なんかムカムカするから。」
「おまえがムカムカしなくたって・・・・」
萌は俺の手を引っ張って
「カラオケ行こう!!」そう言った。