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このまま病院に向かった。
萌の母親はとても慌てていて運転も動揺していた。
「安全……運転でね……。」
萌が苦しそうにして俺の肩で息をしていた。
「秋杜くん お願いがあるの。
私 仕事そのままにしてきたから片付けてすぐ戻ってくるから
萌のこと頼んでいい?」
「わかりました。俺ついてるから……」
病院に降りて 萌の母親が車イスを持ってきて 受付にはしって言った
俺は萌をまた抱えて 車イスに座らせた。
「大丈夫か?」
「うん……。」
しばらくして看護師がやってきて 萌を連れて行こうとした。
「秋杜・・・・そばにいて…ここで待ってて……」と言った。
「わかったよ。」
俺は携帯の電源をおとした。
萌の母親が戻ってきて
「秋杜くんありがとう。帰っていいよ。」と言ったけど
「ここにいるって約束したから……」俺はそう言って待合室のイスに座った。
廊下の時計が6時を回って……春湖の顔を思い出した。
ごめん…置いては帰れない……
萌の母親が診察室に呼ばれて行った。
どこが悪いんだろう いつも元気だから……
不安な気持ちになっていた。
そういえば中学の時 長く入院してたよなと思い出した。
でもいつも笑顔で元気だから ついつい忘れていたけど……
「萌ちゃんが呼んでるよ。」看護師が俺を呼びに来て処置室に入った。
点滴をうけて萌は俺をみて ニッコリ笑った。
「ごめんね……待っててくれてありがと……。
彼女…怒ってるよね……。」
「いいよ。もう……。何とかなるよ。」
萌の目から涙が流れた。
「迷惑かけてごめんね……。」
「気にすんな。」
泣いている萌を見て動揺した。
「じゃあ…もう少しそばにいて……」
結局 その後萌は 入院することもなく
車に戻る頃には いつもの萌になっていた。
「家には送るから…私が電話するから。」萌の母がすまなそうに言った。
「大丈夫です。」
「入院にならなくてよかった~~ぁ~~」
別人のように萌は笑顔になった。
「先生も 数値は悪くないって言ってたから
きっと疲れてたんじゃないの?」
「ママ~~お腹すいたよ~~
秋杜もすいたでしょ?」
「あ・・・ほんと秋杜くんごめんね~~
ご飯食べて帰ろう~」
「いいですよ~~俺は~~」
「食べよう~~お腹すいてもう死にそうだよ~~」
時計は10時を回っていた。
「じゃあ…食べてから送るね。」萌の母が言うと
萌が
「やった~~~ぁ~~」と喜んだ。
俺は携帯の電源をつける気がしなかった。
また怒らせたんだろうな……
春湖に罪悪感で一杯だった。