012
「佐藤さんのご両親によろしく言ってね。」何度も何度もママが言い返す。
「大丈夫だって~~子供じゃないよ。」大人ぶって答える。
「心配だわ~なんかあったら携帯に電話してよ。」
「はいはい~」
「ママ 春湖だってもう大人なんだからさ~
いつもあなたがそう言ってるじゃん?」パパが笑った。
「今は携帯あるからそんなに心配しないで~」私が言うと
「そうね…そうね…じゃあ…行くね~」と笑った。
「秋杜たち遅いな~~」パパが車のフロントガラスを拭きながら言った。
秋杜にはもうかなりあってないから…ついでだから
どさくさにまぎれて会っておこうと私も見送りついでに待っていると
尚ちゃんと由美ちゃんが出てきた。
「悪いな~~秋杜さ…熱だしちゃってさ。」
「え~~ほんとに???」
マジかよ……もうまーくんとの予定はたってるんだよ~~~
冷や汗が流れる・・・・。
まさかキャンセルなんて言わないよね…
祈るような気持ちで私は状況を見守った。
「秋杜は行けっていうんだけど……」由美ちゃんが家を振りむいた。
「明日帰ってくるんだし 行くべ。
秋杜だってもう一人でも大丈夫だろう……な?春湖~」
尚ちゃんが私の背中を叩いた。
「え?何?」
「悪いけどさ~ちょこっと気にかけてくれよ。
熱はそう高くないんだ。
メシ食ったかとか…具合どうだとか……」
「え~~!?だって私夕方からお泊まりだもん~
それに秋杜とはもうず~~~っと会ってないし・・・・・」
少し後ろめたかった。
あの時の件で秋杜が怒ってるんだったら私には会いたくないだろうし…
「出かける前にちょっと様子見てやって~」
由美ちゃんが私の手を握った。
「あ…うん…わかった……。」そういうしかない……。
まったく…
四人はニコニコ顔で車に乗り込み 出かけていった。
「は~~~~っ」ため息……。
秋杜に会わないといけないのが気が重くなった。
まーくんは6時にそこの公園に迎えに来る約束をしていた。
そして今夜は一緒にご飯を食べて
それから……お泊まりに行くことになっていた。
それまで私はお風呂に入って じっくりと体を洗って~~
これから踏み出す大人への階段を登るんだ~~
秋杜とはできれば会いたくないし 会うとどこか縛られる気がして
だけど行かないわけにはいかないし・・・・
できればこんな日に 秋杜には会いたくないのに……
いいや…行ったけど秋杜は 寝てたことにしよう
家に帰ってすぐにお風呂に入って 時を過ごした。
これからまーくんのものになる予定の体を優しくしっかり洗って……
昨日買った気にいった香りのするシャンプーとリンスで
丁寧に髪の毛を洗った。
保湿効果のあるミルクローションで肌をすべすべにして
髪の毛を乾かして 化粧水で肌を整えた。
今夜は少し大人っぽく……
うっすらだけどお化粧もした。
「ばっちりだわ!!」
落ち着かないし 少し早目に出かけよう……
玄関で靴をはいていると電話が鳴った。
げ・・・・由美ちゃんだ・・・。
「もしも~~し 春湖~~?
悪いんだけど 秋杜のとこ行ってきてくれない?
電話がつながらないのよ~~~!!」 半分パニくってる由美ちゃんに
予定外の行動をとらないといけなくなった私だった。