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「一人暮らしなの?」萌の目が丸くなった。
「あ…いや…萌には言っておくよ……。
幼なじみと住んでるんだ。親が実家の仕事継いだからその間
一緒に暮らすことになってて……」
「へ~~じゃあ…いいじゃん~
うるさくないじゃん~」
「いや…それは……」
「だって~お互い様じゃん~若いんでしょ?」
「俺の…大事な女だから……」
「え?女・・・・・・?」萌が少し考え込むようにしてた。
「もしかして……秋杜の好きな人と一緒に住んでるの?」
「そう~」
「え~~~~~!!!!」萌の声が部屋に広がった。
俺の顔を覗き込んで 萌が大げさにひっくり返った。
「好きな人と一緒!?」
「他の奴に言うなよ。誤解されたくないからさ~」
「誤解って……だってそう言う事……」萌は頬をおさえた。
「あのな~~俺らはまだ…清い関係だし
っていうか…カッコ悪いけど俺の一方的な片想いなんだ。
だけど…絶対に人生かけて俺のものにするんだ。」
萌はキョトンとしていたけど いきなり
「きゃははは~~~」と転げ回って笑った。
俺は萌を茫然として眺めていたけど
「なんか笑えることあるのか?」とムカついて言った。
「だって~~だって~~あははは~~
だって~~秋杜が……秋杜がそんなタイプだと思えなくて~~」
「タイプとか…俺にとっては人生かけての片想いなんだ。
多分 生れる前からずっと…好きだった…それしか考えられない。」
萌が俺の額に手をあてた。
「大丈夫??らしくないよ……。」
「うっせー。誰がなんて言ったっていいんだ。
俺は春湖を愛してるんだから。」
「なんかロマンチストなのね秋杜……。」
「俺と春湖は結ばれる運命だったのに…神様が間違えたんだ。
先に春湖を一人で世に送り出してしまったんだ。」
「え?ってことは…年上?」
「そ……今 社会人……」俺の口が尖った。
「マジ?それは~~相手にされないよ~~
だって~~秋杜は高校生だもん~~~」
「うっせーよ!!なこといっつも春湖に言われてんだよ。
それでも俺は春湖を愛してんだ。」
思わず大声で怒鳴ってしまった。
「あ・・・あ・・・そ…ごめんごめん~~」
萌は一瞬驚いた顔をしたけど またすぐいつものノリになって笑った。
「人の純愛バカにすんな。おまえのこと親友だと思って言ったんだからな。」
「あ…そうだった~~親友だった~~。
応援するよ~秋杜~~。今度会わせて~~絶対会ってみたい。
私だって何かの役に立つよ。
どんな人なんだろ~秋杜の好きな人って……
めっちゃ会いたい~~絶対会わせてね。」
萌の必死な哀願に思わず
「うん」とうなずいた。
「楽しみだな~~~秋杜が本気になる人って・・・・・。」
萌の瞳が輝いた気がした。