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萌が焼いたというケーキーを囲んで
萌の部屋に料理をセッティングしてもらって誕生日をした。
複雑な感じだった。
萌は無邪気に笑って楽しそうで・・・・。
「こんなことしてもらったら…」
「え?だって誕生日ってこういうことするでしょ?」
「そうだけどさ…カラオケで充分だよ。」
「驚いたでしょ?」
「ビックリしたよ。」
「呼んでよかった~秋杜があんなに笑うなんて見たことないから。」
「俺も意外・・・」
二人で爆笑した。
「萌……」
「ん?」
「ありがとな……。俺さ萌に会うまで友達なんていらなかったけど…
中学は最高に楽しかったよ。」
「秋杜とみんな仲良くしたかったんだって……
小学校の頃からみんなそう思ってたって……」
「そうなん?俺 めちゃめちゃイヤな奴だったけどね。」
萌は笑いながら
「そうらしいね~~」と笑った。
「萌には感謝してるよ。最高の友人…いや…親友だと思ってる。」
俺は…自分が残酷な人間だって思った。
もしかして…萌が俺に気があるなら…もうこれ以上は
踏み込んでほしくない…そう一線を引いた。
「親友!?それは光栄だわ~」
萌は 無邪気に喜んだ。
その姿を見て 俺はホッとしていた。
やっぱ萌には俺に対して特別な感情はないんだよな
「男女の壁を超えて親友って言ってもらうのって
あるいみ彼氏彼女より絆が深い気がするわ。」
萌はケーキーにを俺の前において
ろうそくに火をつけた。
暗い部屋に浮かび上がるケーキー
「お誕生日おめでとう~秋杜の一年がすてきなこと一杯ありますように~」
俺は勢いよくろうそくの火を消した。
一瞬真暗になってそれから しばらく電気がつかなかった。
「萌?電気……」
「あ…うん……あれ…どこだった……?」
慌てる声がしてしばらくしてやっと明かりがついた。
「ね…私の誕生日もお祝いしてくれる?」
「いいよ。またカラオケ?」
「それもいいね~~でもまたこうやって……いい?
親友なんだから……いいよね?」
「あ・・・うん・・・。」
「よかった~~ぁ~」
「そう言えば・・・・いつだったっけ?12月?」
「そう~あ~よかった~~絶対約束だからね。」
「わかったよ~~」
萌のケーキーと萌の母親が作ってくれた料理を食べ終えて時計を見ると
もう10時近かった。
春湖……どうしてるかな…心配してるよな…
後ろめたさに携帯の電源を切っていた。
「もう…遅いし…帰るよ…」
俺が立ち上がると萌が
「今日一日一緒にいようよ……」
「あのな~おまえの親だってなんだって思うから……」
「大丈夫よ。うちは大丈夫だから~明日になるまでいてよ。」
「俺だって…帰らないと……」
「電話して…いいじゃん……盛り上がってるとか言って~」
萌がいるところで春湖に電話はできない……
嫉妬させるにも ほどがある……。
「家のママに電話させるから~大人同士だから大丈夫だよ。」
「あ・・・それは・・・。」
「ママに頼んでくるから~」
萌が部屋を出ようとしたから慌てて俺は
「いいって~~俺 今 親と住んでないんだ。」
そう叫んでしまった。