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朝から萌の おめでとうコールで起こされた。
俺は春湖に対して後ろめたさで 慌てて出て行った。
少しは俺のことも心配すればいいんだ
だいたい俺だけがずっとずっと 春湖に振りまわされてきた。
俺だって…たまには春湖に心配されたいし
思い通りになるなんてガキ扱いもしないでほしい。
反抗期か?
そんな自分を冷静にもう一人の俺が見ている。
おまえ情けないぞ・・・・
ほっとけ
心の中で言葉が葛藤していた。
待ち合わせの場所につくと 萌が立っていた。
「さっきも言ったけど~おめでとう~~」
「サンキュー」
「おめでとうは何番目?家族以外は私が一番だった?」
「そりゃそうだよ~朝っぱらから。それにもう親なんて忘れてんだか
昨日もメール来たけど何も言ってないから……」
春湖とは顔合わせてない
本当は一番最初に言ってもらいたかったな…って自分が悪いくせに
萌に連れられて カラオケBOXについた。
「先に開けて~」ニコニコ顔の萌がそう言った。
俺が開けると クラッカーが鳴った。
「おめでと~~秋杜~~」
中学の時 仲良くなった仲間が数人笑顔でむかえてくれた。
「あれ~どうした~?」
「萌からメールきてさ 秋杜の誕生日だからお祝いがてら
一緒に遊ぼうって言うからそれなら行くっていって 他のやつらにも声かけたんだ。
楽しかった。
萌のおかげで できた友達だった。
久々に笑った。
友達なんて俺には無用だと思ってたけど
萌と出会って 萌の周りに集まる人間と少しづつ触れ合って
今まで知らなかった楽しさを知った。
じぶんから友達を開拓する性格じゃないし…俺は春湖から五年も遅れてきた
自分の現にいる世界が憎かったから…
でも…一緒に笑い合う友達がいるって
すごく楽しいことなのを萌のおかげで知った気がする。
イライラしてたり 自分でも持て余していた感情が
みんなとふざけたり笑ったりして楽になった気がした。
時間を忘れてもりあがって 気がつけばフリータイム中俺は笑い続けていた。
「もうこんな時間だよ。」
みんなと別れて俺はつぶやいた。
「何言ってんの~~これから私とするんだからね。」
「え?いいよ~もうこんな時間だし。」
もしかしたら春湖が待ってるかな……と思った。
萌は頬を膨らませた。
「言ったじゃん~ママがご飯食べようって~」
萌は俺の手を掴んでタクシーをとめた。