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春湖に夢中になりすぎて 毎日がバラ色だった。

愛する人が手の届くところにいるという幸せに俺は つかっていたけど


俺の愛を押しつけると 春湖はそれを拒否するから

また喧嘩になってしまう。


そばにいるとはがゆくて……

思い通りに進まない……イライラも募っていく。



もうすぐ誕生日だったけど 春湖との仲は熱い日もあり

辛い日もあって俺自身もどうしていいのかわからなかった。



夜の春湖は俺だけの春湖だったけど

朝 仕事に出かけていく春湖は悔しいけど大人だった。

帰ってきて化粧をおとして 春湖の髪の毛を乾かすと愛しさでいっぱいになる。



乾いた髪に顔を埋めて


仕事場の話しに嫉妬して俺は春湖を抱きしめた。




  ガキ・・・・



春湖の口から出てくる仕事場の人に嫉妬をして 俺のいらつきはピークになる。


春湖の前で大人でいたいのに…俺は嫉妬でガキにな。



そして春湖を怒らせて

俺は春湖の言葉に 傷ついて 絶望する。




  こんなに愛してるのに……



一方通行のやり場のない気持ちをもてあまし始めていた。



「秋杜 誕生日でしょ~明日。」萌が後から走ってきて息を切らしながら言った。



「忘れてた……。」



「ママがね ご飯食べに来てほしいって言ってた~

おいでよ~」



萌はいつも明るかった。


「いいでしょ?ね?」


萌が制服の袖を引っ張った。



「うん……。」



「やった~~ぁ~それじゃあね~~」

萌は右側の道に走り出して 



ピョンピョン跳ねながら 俺に手を振った。


そのあどけない行動がおかしくて思わず笑ってしまった。



「一緒にいる時わらいなさいよね~~」



ほんとだ…最近ほんと 笑ってないな……

萌の言葉にうけてひさしぶりに笑った。



萌の誘いをきっぱりと断れなかったのは 俺がガキだったから



誕生日を春湖が予定してるかはわからなかったけど

嫉妬してほしかったんだ……それだけ……だった。



案の定 春湖から誕生日のことを聞かれた。

なんだか久々に話した気がした。



「明日 誕生日だからお祝いしようよ。」




「悪い…俺 用事あるから……」わざとにそっけなく言った。



春湖は一瞬 動揺していたけど・・・

俺は成功したのに後ろめたかった。




もっと…もっと…俺のことで悩んでよ春湖……。

俺が春湖にいつも 嫉妬してるように

俺だけ…春湖の世界に嫉妬してて…ガキな俺は…どんどん卑屈になる。



春湖の動揺した顔を思い出した。

胸が痛んだ半面…俺にもっともっと嫉妬して……



俺を好きになって……そう叫んでいた。



母が言ってた・・・・

悪い方向に転がり始めていることにまだ気がついていない。


俺は春湖の気持ちも 萌の気持ちも 考える余裕はなかった。




ただ自分が辛くて…逃げ出していた。






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