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母の大嘘で 春湖との同居が始まった。
めっちゃ幸せだった。
朝も俺はしっかり起きれるし…自分のことは自分でできるし
だけど…大嘘の手前もあって
遠慮がちに起きて行くけど 結局 春湖の方が遅いことが多かった。
春湖と同じ時間を共有できる幸せを毎日毎日かみしめて……
俺の頭の中は春湖一色になっていた。
相変わらず俺の愛の告白には 耳をかさずに
意地になって大人ぶってる気もするけど…まだまだ俺を同じ土俵には立たせてくれない。
いつになったら…俺の気持ちは報われるんだろう。
俺の好きな香りに包まれることを許してくれた。
ドラックストア―でテスター嗅ぎまわって鼻がマヒしたくらい
俺は春湖のシャンプーを探しまわった。
素顔の春湖が 俺の好きな香りに包まれることに
俺は生きがいを感じていた。
変態か・・・・?
ほっといてくれ……ドライヤーを乾かしながら
俺は春湖を感じまくる。
夜の素顔の春湖は 俺だけのもので…
白くて柔らかい襟足はきっと 春湖自身だって見たことはないだろう。
「上手ね~」
俺が朝 髪の毛をまとめてると 春湖は感心したように言った。
研究してるんだよ
「だろ~」俺が最高の春湖を作りあげられるんだ。
なんておかしな自信までついてきた自分がおかしくて笑えた。
俺 美容師になろうかな……
そんな気分にもなったりして~
キレイに化粧して通勤服に着替えてパンプスを履いて
颯爽と歩く春湖は 遠い存在に感じた。
道行く男がふり向くたびその男たちを殴り飛ばしたくなる。
春湖は俺のもんだ!!
喧嘩して…仲直りして……笑って…俺の愛の言葉を受け流して……
愛してる・・・・・
年なんか関係ないんだ。
俺はきっとこの世で一番 春湖を愛してる。
いつかこの柔らかな宝物を……俺の手の中で…抱しめて……
そしたら絶対手放さない……。
世界で一番愛の言葉を言ってやるのに……
俺はそう思ってたんだ……。ずっと……。