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ね…春湖………
俺はいつになったらおまえと同じスタートラインに立てるんだろ?
おまえのそばにいる時は俺
必死に大人になろうって頑張ってんのに……いつまでたっても
やっぱ…俺はガキなんだろうか……
イヤ…俺は……やっぱガキだった。
帰ってくるとみんなが酔っ払ってた。
春湖も完璧に酔っていて 色白な頬がピンク色になっていた。
俺はこんなときも酒は飲めない……。
酔って気分がハイになってる春湖はやっぱり大人に見えた。
案の定…春湖にさっき一緒にいたのは誰だと言われた。
彼女扱いをされたのがムカついた。
俺にはおまえだけなんだ
会えない二年間だって…おまえだけだった…って思う反面
この二年間で俺は少し変わったのかもしれなかったけど…
萌は友達だし・・・
そうそう友達だ………。
だけど…それをキチンと伝えることができない気がした。
春湖が萌を年上っぽいって言ったことをいいことに
曖昧に25歳で俺の教材と
思いっきり嘘をついて…
その嘘は少しでも 大人に思われたくて……
必死でついた 見栄だった。
酔っている春湖は それを完璧に信じ込んでしまった。
そしていつものように昔と変わらない言い合いのうちに喧嘩になって
思ってもいないことをぶつけて
春湖を傷つけてしまう……。
言わなくていいことばっか言いすぎて 愛の言葉は春湖には届かない……。
あの日のキスも 春湖にとってはウケるって…出来事で
俺は…春湖の前では大人でいたいのに…いつも好きな子をいじめてしまうガキになる。
自己嫌悪で一杯になって俺はいつも 自分に絶望してきた。
同じスタートラインに立ちたい一心で 春湖と同等になろうとして
春湖を傷つけて・・・また距離ができるんだ。
春湖に触れたい……。
ずっとずっと我慢してきた……。
想像の世界の春湖は いつも優しく笑ってくれるのに
本物はそうはいかない……。
春湖をはるかに越した体格で 抱きあげた。
マシュマロみたいに真っ白な春湖の頬がまた赤みを帯びてきた。
柔らかくて…いい香りがした……。
このまま全部奪いたい……。
俺が大人だったら……春湖をこのまま奪う事も出来るのに
俺にはまだ…そんな大それたことはできないんだ。
全てが想像の世界で…未知だから……
大人風を吹かせる春湖を……未経験者の俺が奪うことなんて…
全てをさらけ出しそうで…想像しただけで情けなくなった。
言葉だけ…大人ぶって…春湖に愛を押しつけて……
ベットに寝かすだけで精一杯だった。
疲れる……
想いをもてあまして…俺は部屋を後にした。