表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/223

       120

久々に笑った気がした。

それも素直に…大笑いした。



萌の負けず嫌いが炸裂してボーリングも楽しかったし

下手くそなゲームに躍起する萌も笑えた。



「あとはプリね~。何回か撮ったことあるんだけどね

不思議にあれ…あのプリ機絶対実物の倍キレイにうつるんだよね

せっかく秋杜と撮れるんだから~~」



「あるがままに立ち向かうから無駄なことすんな。」



「ひどい~~」



萌は俺の腕を思いっきり叩いた。



「痛いって~~」




テナントの前を歩いていると 俺の視線がすいつくように止まった。



ブティックの前でジャケットを手にとって見ていたが

こちらの方に向かって歩き出してきた。

まだ距離はあったけど俺にはすぐにそれが 春湖だとわかった。



長い栗色の巻き髪の毛が 柔らかげに動いている。



  春湖……



二年ぶりだった。

キレイに化粧した春湖は また俺との距離を感じてしまうほど

たくさん人がいるのに 春湖だけしか見えない……。



「秋杜?どうしたの?」萌の声に我に帰る。



「あ…いや……。」今さらどこかに隠れても仕方ない。

俺はもう堂々としていようと思った。




「あの人と…私 どっちが可愛い?」 


萌はさっきからすれ違う若い女と自分を比較させた。




距離が縮まってきて 自然に…自然に春湖の視線が俺をとらえて

動かなくなった。



俺は平静を必死に保つ

視線をなるべく動かさないように春湖と視線がぶつからないようにした。



やっぱり…後めたい…



春湖は少し驚いた顔をしてたけど そのうち優しく微笑んだ。



  なんであいつ笑ってんだよ……


笑顔にむかついた。



そして春湖とすれ違った瞬間 俺の心臓にまた衝撃が襲った。




  ときめいている?自分……



「ね~~どっち?今すれ違った人~~ちょっと年上っぽいけど~」



萌が自分と春湖のどっちが可愛いか聞いていた。



「しらねーよ。」




「意地悪~~」




萌は俺の腰に手をまわして額を肩にあてた。



  春湖に見られた……



萌のことなんて言おうか……いいわけを考えてる。



かあさんの言った通りだった。

優柔不断なのは 自分でもよくわかっていた。



だけど・・・萌はあくまで友人であって そこに愛だの恋だの

そんなものはないよな?と胸に聞いた。




「秋杜・・・・?」




「あ・・?」




「どうしたの?なんか変だよ?」萌が黒い目を大きくして言った。




「あっちの人~」





「わかってたよ~絶対私だって秋杜は言わないんだから~」



萌はそう言うと俺の背中を二発トントンと叩いた。




  春湖に聞かれたら…なんて言うかな……



頭の中で言い訳をかんがえていた。




「これ秋杜にあげるよ。」プリクラを半分にしてくれたから



「俺はいらない。」と受け取らなかった。




「せっかくだし…半分にしよ……」



「いいよ~俺が持ってても使わないし~」



「そっか…だよね……。」



萌は少し寂しそうな顔をしたけど 俺はもう気持ちが春湖に飛んでいたから




萌はバックにプリクラを片づけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ