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俺と萌は無事に合格した。



春湖が戻ってきて一緒にお祝いをしようという。

何年ぶりだろう……。



あの強引にキスをしてから一度も会っていない春湖と顔を合わせるのが

少し気が重かった。



「いつやるの?」



「春湖の引越が落ち着いたらって言ってたよ。」



「俺 土曜日は昼いないからな。」



母が厳しい顔でふり向いた。



「またあの女なの?」



「違うから……」別にやましくなかったけど 最近変な勘ぐりを入れる

母親の視線をずらした。



「もしさ 土曜だったら…先にやってていいからね。」


母親は俺の顔を覗き込んで



「浮気者」と言った。



「あのな~俺と萌は何もないからな~

変なこと言うなよな。」



何かとつけて母は 萌の名前を出してくるからウザイんだよな。



しかし・・・その萌と土曜の昼 地下鉄の改札で待ち合わせをした。



「秋杜もう~~んとお洒落してきてね。」




「そんな服ないし・・・。」困ってると萌が




「元がいいから…いつものでいいんだけどね。」



「何をするんだ?」



「ま~ぁ~土曜日の楽しみにしておいて。」



そう言うと萌は電話を切った。




しばらくして母が


「春湖が土曜日がいいって言うから

土曜日になっちゃったけど…遅くならないんでしょ?」と言った。



「夕方には帰ると思う。」



「すぐに帰ってらっしゃい。」



「だから…ウザイな…なんでもないんだって……。」



最近 母の言葉がきつい。



「秋杜~~ダメだぞ~~かあちゃん敵に回したな~~」


父がニヤニヤ笑ってる。



「俺 別に悪いことしてないし。」



「あのね秋杜!!あんまり優柔不断なことしてたら

後で困るのあんただからね。

気を持たせてたら ろくなことにならないの。

秋杜はそう言う子じゃないって思ってたけど…煮えきらなくて腹が立つわ。」



俺はしばらくあんぐりしていたら



「図星って…顔してるぞ……」父が吹き出した。




「かあちゃんの勘は鋭いって感じか?」



「なことねーよ!!

俺は春湖しか好きじゃねーんだよ!!

変なこと言うな!!」思わず声を荒げてしまった。




「それなら…いい顔して気を持たせるのはやめなさい。」




「友達だよ。友情だよ?

向こうだってそうだし……。」




「秋杜は春湖一筋で いろんなことにまだ未熟なのよ。

だからおかあさんは心配してんだから。」




「うっせーな。」



急に後ろめたい気持ちになって リビングを飛び出して外に出た。




向かい合う中庭の 錆びれたブランコの前に立った。

春湖と遊んだ…遊んでもらったブランコ……。



  なんだよ…ババア…人の気もしらねーで…勝手なこと言って…



男と女の友情だってあるだろう。

なんでもかんでも色眼鏡で見るから やらしく感じるんだって。



萌と俺はそんなんじゃない



俺はそう思っていた。

そう思うようにしていたのかもしれない。




  春湖が…帰ってくる……。



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