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萌もさすがにのみこみが早い。
俺が教えてると どんどん吸収して行って夕方には
「完璧だな~」と俺はつぶやいた。
「まだまだだから~~」
「さっきもそう言ったけどさ もう大丈夫だって~」
俺は時計を見て
「帰るかな」と言った。
「さっきママがいったでしょ?夕飯食べて言ってって~」
「いいよ。それに今日は大好物の日なんだ。」
「明日食べればいいじゃん~うちだってママが気合い入れてんだもん。
早く家に電話して 少し遅くなるって言ってよ。」
そう言うと立ちあがって
階段を降りていった。
「秋杜~~早くおいでよ~~~もう用意してるから~~」
家に電話をして母親に話すと
「気を持たせないようにしなさいよ。
女は怖いから。」そう言った。
「そんなんじゃないからさ……とにかく少し遅くなる。」
「春湖に言うからね。」
そう言うと電話をきられてしまった。
下に降りていくと なんと萌の父親までいて俺は大緊張した。
萌の父親は笑顔で立ちあがって
「悪いね。おかげで勉強がはかどったって喜んでるよ。」
優しそうな人だった。
「あ・・いいえ
もともと萌さんは頭がいいから…」
「いっつも学年五位以内を秋杜と争ってるけど
勝てたことないよ。」
ニコニコ顔でイスをひいて
「座って~」と言った。
それから 四人で食事をとった。
「おにいちゃんのところに秋杜が座ってるってなんかおかしいわ~
東京の大学行っちゃったからいつも三人なんだよね。」
「またこうやって食事一緒にしてくれない?」萌は嬉しそうだった。
家では見られない フランス料理のような献立で
色とりどりの野菜の色がキレイだった。
いつもこんなもん食べてんのかな
「何言ってんだよ。」
俺が焦ってそう言うと
「そうよ~また一緒に食べましょうよ~~
そうして秋杜くん~~」萌の母親もニッコリ笑った。
「いいでしょ?パパ~」
「もちろんだよ~是非また~」
父親は萌をとろけそうな笑顔で見つめていた。
萌のペースに巻き込まれそうだった。
ちゃんと言っておかないと……
俺はそう思った。
なぜか巻き込まれていく萌の存在に 自分を見失わないように・・・
最初から ちゃんと話しておこう。
今なら友達として…伝えられる……。
部屋に戻って俺は 帰る用意をしていた。
「もう少しいたらいいじゃん~~」
「もう7時だし…そんな女の部屋にいつまでもいられないだろ。」
「あ~~そうそう さっきの部屋の話だけど
一番最初の部屋って誰?小さい頃とかなしだからね~」
きちんと…
「俺の好きな女だよ。
めっちゃ……好きな女……。」
萌の顔が少し曇った気がした。
「好きな女って付き合ってるの?」
「…それは…まだ・・・・。
ずっとずっと好きなんだ。
これから先も絶対変わらない……。
絶対手に入れるために 俺は生きてんだよ。」
萌は口をあんぐりと開けて俺を見てた。