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修学旅行が終わっても 萌はなかなか登校してこなかった。

俺の心にぽっかりと穴があいた気がした。



春湖のいない穴とはまた少し違った。

日常的にあたりまえの存在の萌は 俺の心に複雑な想いを残していた。



「先生 萌のお見舞いに行きたいんだけど~」

女子が数人 担任に言いに行った。



担任は少し困った顔をしたのを俺は見ていた。


「気持ちだけ伝えてきます。

今日 先生プリントとか持って行こうと思って…

熱が……下がらなくて…まだ面会もできないの……。

下がったらすぐに退院できるようだから……

あなたたちの言葉ご家族に伝えてくるわね。」



「わかりました。」


女子が背中を向けた瞬間 担任がため息をついた。




  なんか…悪いのか……


そんな予感がした。




季節は春から夏へ……夏休みに入っても萌は退院しない。



さすがにみんなが噂しだした。


「ずいぶん長いよね……。病気悪いのかしらね。」




受験生の俺は どうしても行きたい高校があった。

まずは 春湖より絶対上の学校に行くのは目標で

俺の行きたい学校は

そこより少し上の東西南北の進学校だった。


勉強は好きじゃないけど するほうだったし

授業中は人と会話しない分 集中したから 成績はいい方だった。



「夏期講習とか受けなくてもいいの?」


めずらしく放任主義の親が言った。



「自分でできるから…いいよ~」


あまり変わったこともしたくないし

自分だけの力がどれだけなのかっていうことも ためしたかった。



「あいつ…勉強大丈夫かな~~」



思わず口にしたのは 退院してこない萌のことだった。



萌も俺と同じで 塾行かない派だった。



一度 萌から


「おにいちゃんがいってるから絶対に行きたい」って聞いてた。



  大丈夫なのか……


萌が入院して 二か月がたっていた。

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