表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/223

       100

光太郎の部屋に移動して 窓一面の夜景を見ていた。


窓にうつる灯りだけの部屋は

贅沢な一枚の絵のようだった。




「春湖は大丈夫か?」


光太郎が近づいてきた。



「・・・・大大丈夫じゃない…です。

だけど…光太郎さんがいてくれてよかった…。

それに…こんな素敵な夜景をここで一人占めできて……ちょっとだけ救われたかな。」




「そっか~よかった。」




光太郎が覗き込んだから 恥ずかしくなって顔をそむけた。




「ルイトのアップにはたえられません……。」



「あははは~」軽快な笑い声




「明日…帰っちゃうんですよね。」




「うん…。」



胸にぽっかりと穴があきそうで


「寂しいな~~」思わず本音を口にしてしまった。




「それは光栄だよ~俺も寂しいよ……。

明日の夜からドラマのロケが入ってっから……」



「でもよかった…昨日は死ぬなんて言ってたから

ほんと心配してたんです。」




「ごめん…でも昨日までは死にたいって思ってたよ。

もう一度会いたいなって思って今日 強引に会いに行ったんだ。」



「ほんと強引なんですから…」



「会って俺もよかった……また頑張ろうって気がしたから……」



「私もきっとあのまま家にいたら

彼を待ってそして…また帰って来ない彼のこと考えて泣いていました。」



「俺もそんな春湖を想像したら切なくなった……。

だから家に連れてきてしまった。」




光太郎が私を抱き寄せた。




そう…きっと

今頃一人だったら…どうしていただろう…


ぞっとした。



今こうして…抱しめてくれる人に癒されて

今日はついていた気がする。



「今夜は…俺と一緒にいよう……。」



「え・・・?」





「春湖を……抱きたい……。」




心臓が口から出そうになった。

さっき・・・欲望が理性によって底深く沈められたはずなのに……




「ダメで…す……。彼を裏切るから……」

心臓がドキンドキンと脈打った。




光太郎の唇が私の耳を刺激して 私は思わず声をあげた。




「キャ……」




「春湖…しっかり俺を拒否ってね……。」耳元で囁いた。




「それ…めっちゃ意地悪です……。」私は喘ぐようにそう答えた。



「俺は理性をうしなっちゃいないよ…

ちゃんと理性が言うんだ…春湖を抱きたいって……」




  私も……抱かれたい……


「俺は純粋にそう思ってる…。だからって言って付き合ってくれとは

言えないけど……俺も恋が終わったばっかで……

まだ他の女を愛せる次元じゃないし……それなのにこんなこといって…

俺…やっぱバカだな……。」



「正直で好感がもてます。

お互い…傷を…癒しあいたい…それだけですよね……。」




「春湖……?」




「私の傷を…癒してくれますか?

私が光太郎さんの傷を癒せますか?」



私は光太郎の胸から顔を離して 

夜景の灯りの中の整った顔をドキドキしながら見つめた……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ