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優しいキスだった。

そして暖かいキスだった。



秋杜とする熱くて自分をおさえるのに必死なキスとは少し違って

全てを包み込んでくれる安心感で力が抜けそうだった。



顔を静かに離して


「ルイトとキスしちゃった……」私は明るく流そうとした。



そしてまた光太郎の顔が近づいてきて

光太郎の重みで床に倒れ込んでしまった。




「ルイトとキスしてんじゃないよ……。

光太郎とキスしてるんだよ。」



光太郎が耳元で甘い声で囁いた。


心臓がまた早くなって私は頬が火照るのがわかった。



「光太郎さん……もう…これ以上は……」


そう言いながら私は自分の目が潤んでいるのを自覚していた。



欲望が理性を支配しようとしている……。

秋杜が抱いてくれないから 他の人に抱かれたいって思ってる……。



  秋杜だって…萌と………



「俺だって…これ以上は…って思ってるよ……。」


かすれた声の光太郎がセクシーだった。



そして今度は気の遠くなるような 激しいキス



頭の中で理性と欲望がめっちゃ戦ってる……。




  寂しいの……



欲望が理性をなだめるように 言い訳をしてる。




  秋杜を裏切るの?




  一回くらい…いいじゃん…

  お互い様だし……



光太郎のキスは めちゃめちゃ上手だった。



やっと光太郎の唇から解放されて

「光太郎さん…めっちゃ…キス上手……」


私はそう言うと大きなため息をした。



「そりゃそうだよ。今まで何人の人とキスしてると思う?

ま~仕事が多いけどさ……プライベートなのは…これが二人目かな…」




「え?そうなんですか?

私 プライベートで二人目なんですか?」



華やかな芸能人だから いろんな雑誌やテレビを見てて

みんな遊んでるんだって思ってたから



「仕事とプライベートは違うだろ……

そこんとこわり切らないと こんな仕事できないよ。

仕事でキスした相手に夜 誘われても俺は断る主義……」



そう言うと私の額にキスをした。



「香澄さん……別れたんですか…?」




「また聞きにくいことズバッと来るね~~」



「ごめんなさい……でも……死ぬなんて言ったから……

本当に愛してるんだなって……」




「俺が守ってやれなかったんだよな……。

だから…香澄を失ったのは自分のせいなんだ……。」


光太郎の切ない表情を見ていたら

理性がとうとう欲望を押しのけた。



「みんないろんな事情があるんですね……

今日は光太郎さんがいてくれて…よかったです……。

この素敵なキスは…光太郎さんじゃなくてルイトとしたって…

思うようにします……。」




「春湖は固いな~~ぁ~」光太郎は笑いながら私を抱き起こした。

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