009
「先生って彼女いるの?」子供らしく明るく質問
「ご想像におまかせしま~~す。ほらそんなこといいから計算して。」
小笠原先生は 独身 年は27歳 血液型はA型
彼女はいない…らしい………と思いこんだのが間違いだった。
大人の男の人…頭がよくて…いい香りがして…指がキレイで……
私は会うたびにのめり込んでいった。
「平野 テストめっちゃあがったじゃん!!」
学校の期末の結果を見て先生が ニッコリ笑った。
だって…だって…
「先生に褒めてもらいたかったの。」ちょっと恥ずかしかったけど
大人の男には可愛くいくのがいいって雑誌に書いてあった。
小笠原先生は私の頭を優しく撫ぜて
「もっと次上がるように頑張ろうな。」と言った。
ドッキュ~~ゥゥン~~
あのキレイな指が私の頭を時間をかけて撫ぜてくれている。
私はわざとに目を潤ませて静かに先生の顔を見上げた。
先生はハッとしたように手を引いて
「さ~~勉強するか~~!!」と切り替えた。
もしかして~~先生~~
勉強するのも塾に行くのもMAXで楽しくなった。
「春湖 塾になんかあんの?」秋杜は勘が鋭い。
「塾には勉強でしょうが~~あんたみたいなガキとは違うのよ。
大変なんだから~~私は絶対大学受かって あんたのいない街で暮らすわ。」
ついつい言ってしまった一言に秋杜が 噛みついた。
「あ?何でよ。」秋杜の顔が 真顔になった。
やば・・・・
私は慌てて部屋に向かったけど 秋杜に手を掴まれた。
「俺のいないとこって?」
「ん・・・だからさ・・・あんたがいない街で楽しいキャンパスライフを
過ごすんだって~~。だから勉強してんじゃん~~」
秋杜の顔が近づいてきた。
小学生なのに…クソガキなのに私の心臓はドキドキしてる。
それは秋杜の目が男の目だから・・・・・
変態か・・・?こんなガキにときめいて…
自分が怖いよ~~~~~ぉ
秋杜が男らしくなるたびに…少しづつ近づいてくるようで……
嫌い嫌い言いながら 複雑な私の心
「許さないからな~春湖は俺のそばにいるんだ。」
階段の壁に押し付けられて 秋杜の息が顔にかかった。
「ちょ…ちょっと…やめてよ…クソガキ……」
怖いのと恥ずかしいのが絡み合って私は目をそらす。
「春湖は俺のもんだから。それはずっと前から決まってんだよ。」
「あのね…勝手なこと言わないでよ…。
私はね高校生なの…秋杜はまだ小学生なんだよ。
小学生って言えばね あんたはちょっと前まで赤ちゃんだったってこと…
わかるかな?」わざとに大人のようにゆっくり話した。
「好きで年下になったんじゃねーよ。
俺はずっとずっと五年間 イライラしながらおまえの成長を見てたんだからな」
「は?どこで?何言ってんの?」
「とにかくおまえは俺のもんだってことは決まってんだよ。」
心臓がドキドキしている・・・・。
秋杜の顔が近づいてきたから私は必死で手で遠くに押しやった。
「小学生のくせに…気持ち悪いから!!!」思わず言ってしまった。
だって・・・だってこのまま無抵抗な方がおかしいでしょう?
こんな子供に本気になったら変態だから~~~
秋杜は私の顔を睨みつけた。
「あ・・・ごめん…ちょっと言い過ぎた。」
思わずそう謝ってはみたけど
「あんたはあんたの世界にいい子が絶対いるんだからね~」
秋杜は乱暴に私を押して 玄関から出ていった。
怒らせちゃったかな……
そう執念深い王子さまを怒らせてしまったようだった。
それから秋杜は私の家に来なくなった。