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『同じ星を見上げて』

作者: pp
掲載日:2026/09/22

「……いつか、戦争なしで星を見られる日が来るのかな」


遠く離れた場所で、林偉も空を見上げた。


「……いつか、きっと。」


二人の声が届くことはなかった。

『同じ星を見上げて』


夜空には、無数の星が輝いていた。


1940年代の、とある冬の夜。


日本軍の兵士、**坂本(さかもと) 蓮(れん)**は、野営地の片隅に座り、静かに空を見上げていた。


昼間は、砲声が絶えなかった。


しかし夜になると、不思議なほど静かだった。


蓮は軍帽を脱ぎ、膝の上に置いた。


「……あの星は、日本でも見えるのかな」


ふと、故郷のことを思い出した。


小さな村。

田んぼの間を吹き抜ける風。

夕方になると、母が家の明かりを灯していた。


蓮はポケットから、一枚の手紙を取り出した。


母から届いた手紙だった。


«「無事に帰ってきなさい。

そして、夜に星が見えたら、空を見上げなさい。

故郷からも、同じ星が見えるから。」»


蓮は静かに手紙を折りたたんだ。


その頃。


遠く離れた場所でも、一人の兵士が夜空を見上げていた。


国民党軍の兵士、**林 偉(リン・ウェイ)**だった。


彼もまた、家族のことを考えていた。


故郷に残してきた父親。


そして、まだ幼い妹。


林偉は空を見ながら、小さく呟いた。


「……あの星を、今見ている人がいるのかな」


二人は、お互いの存在を知らなかった。


言葉を交わしたこともない。


それでも、その夜だけは――


同じ星を見ていた。


やがて遠くから、一発の銃声が響いた。


蓮は立ち上がり、軍帽をかぶった。


林偉もまた、静かに銃を手に取った。


二人が最後に見上げたのは、敵の姿ではなかった。


夜空だった。


無数の星が、何も言わずに輝いている。


勝ったのは誰なのか。


負けたのは誰なのか。


星には、そんなことは関係なかった。


ただ同じ夜空で、同じ光を放っていた。


蓮は小さく呟いた。


「……いつか、戦争なしで星を見られる日が来るのかな」


遠く離れた場所で、林偉も空を見上げた。


「……いつか、きっと。」


二人の声が届くことはなかった。


けれど、その夜――


二人は同じ星の下にいた。

二人の声が届くことはなかった。


けれど、その夜――


二人は同じ星の下にいた。

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