竜騎士の槍
木々が鬱蒼と茂る森の中、前を行くのはドワーフで鍛冶師のガング。
その後ろを冒険者で弓使いのチャールスが歩く。
数人のパーティーで冒険に来ていたが、突然のモンスターの襲撃に遭い
命からがら逃げてきた2人。生き残ったのは2人だけ。
そこへ、木々が生い茂る森が急に開けて、まばゆい光が2人の視界に入る。
ガングもチャールスも突然の光の乱反射に手をかざし目を細める。
そこには全身が紫色に輝いているゴーレムが地面に力なく倒れていた。
真上からの太陽の光を浴びて巨大なゴーレムが1本の槍で貫かれていた。
「あれは・・・、ゴーレムか?」
ガングは呟いた。
「ゴーレムだって?オイオイマジかよ。どうするんだ?俺たち2人だけでどうこうできる相手じゃないだろう?気付かれる前にすぐに逃げようぜ!」
慌ててチャールスが言う。
「いや、あの様子ではもう絶命しておる。詳しく調べてみよう」
ガングとチャールスは倒れているゴーレムに恐る恐る近づく。
ゴーレムは絶命していても術者の魔法を帯びており、そのゴーレムの周りには魔力の影響で草木は生えていない。
「こいつはもしかしたらジュエルゴーレムか?まさか実在したとは!」
仰向けになり胸の真ん中のコアの部分に槍が刺さっておりもう絶命しているようだ。ジュエルゴーレムとは凄く硬いモンスターでその名の通り全身が宝石で出来ているゴーレムである。
冒険者達の噂程度で2人の耳に入っていたが、まさかこんなところで見つかるとは。
仰向けになった体勢で体が紫色に輝いて光を放っている。
こんな巨大なモンスターを槍の一突きで倒すなんて、きっとただものではない。
「すごくでかいな!でもよガング、このゴーレムはまた動き出したりしないだろうな?」
「安心しろ、ゴーレムはコアという人間でいうところの心臓を撃ち抜かれたら
もう動くことはできない。こいつはもうコアが貫かれてから100年は経っているだろう」
「100年だって!?すげえ」
チャールスは驚きを隠せない様子だ。
コンコン、とこぶしでゴーレムの腕の部分を叩くガング。
「う~む、これは硬力が相当高い。並みの冒険者の剣では歯が立たないな。
そしてこの槍の柄に描かれている文様は王国騎士のものだ。恐らくは竜騎士のものだろう。かつてはドラゴンを使役して颯爽と空をかけて活躍したという竜騎士。上空からドラゴンのスピードに乗って一突きといったところか?ゴーレムの弱点を槍一突きで仕留めるなんて相当な腕の竜騎士だったのだろう」
ゴーレムの骸の周りで2人は茫然となる。
「しかし今となってはその存在も文献で記されている程度だ。最近の騎士などはドラゴンを使役出来る強者などいなくなった」
太陽の光を浴びて巨大な体を紫色に光り輝かせている。
ガングはジュエルゴーレムの体に登り、突き刺さっている槍を調べる。両手で槍の柄を掴んで力を入れてもびくともしない。
「なんと丈夫な槍だ!。風雨にさらされて100年は経過しているのに少しさびている程度。相当な腕の鍛冶師が作ったものだろう。さすがの儂も久々に心が沸き立つようだ!!」
ガングの表情に深い笑い皺が刻まれる。
「この派手なゴーレムは価値のあるゴーレムなのか?売ったら金になりそうか?」
チャールスも興奮した様子である。
「そこいらの宝石を山ほど積んでも足りないくらいの価値のあるものだ。
こんな巨大なジュエルゴーレム、見たことがない」
「でも、こんなに大きな骸は2人でも町まで運べないぜ?」
「頭を使え。こやつはもう絶命して骸となっておる。関節を壊して分解すれば少しくらいは運べるだろう。それでもものすごい価値がある」
「凄いなあんたは!俺も冒険者をしていて本当に良かったぜ!」
ガコンッ
と何かを踏む感触がしたチャールス。
先ほどまで浮き足立っていたガングは嫌な予感がした。
グオーン!グオーン!グオーン!!
大きなサイレンの音が鳴り響く。向かいの大きな洞窟から次々とジュエルゴーレムが出てくる。
「なるほど、ゴーレムはこの洞窟の中の宝を守っておったのか。ジュエルゴーレムは一体だけではないということだ。チャールスよ、お前さんが今踏んだのが他のジュエルゴーレムを起動させるスイッチだ」
「ええええ!どうするんだ?ガング!」
「フハハ!決まっておる・・・。逃げよう!!」
2人はお宝をすべて置いて森を駆けていった。
作中で竜騎士は一度も登場しないけれど、その強さを巨大なジュエルゴーレムを槍で一突きで絶命させてしまうという描写で竜騎士の強さを表しました。
改名してからの初の作品となります。応援してくれたら嬉しいです。




