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黎明の誓い  作者:
32/46

6人の道標

焚き火のパチパチとした音だけが、森の静けさに混ざる。

カイルが火の光に照らされた顔で、少し興味深そうに問いかけた。


「ところで、皆はどこへ向かうんだ?」とお茶を啜りながらカイルは問いかけた。


リィナは炎に照らされながら笑い、手元で魔法陣を描くように指を動かす。

「私は、魔法都市に行く予定よ!エルヴィアとね!!攻撃魔法の認定試験を受けるために」


「へえ……試験か」

「私は防御魔法の試験に挑戦します」とエルヴィア。


「凄いですね!魔法都市の試験と言えば超難関!!!」とルミナが感極まった様子で言う。

「そうなのか……」

「はい!!!一流の魔法使いでなきゃ試験資格もないと聞いたことがあります」

「へえ……2人はすごい魔法使いなんだな……」


「なるほどな……ふたりともそれぞれの道を極めるためか…」

カイルは軽く頷き、炎の揺らめきを眺める。

「ならば、君たちの旅路を守るのは俺の役目だな。途中までなら案内してやれる」


エルヴィアがニコッと笑う。

「ありがとうございます。ここまで来る間に、少しでも安全に過ごせれば心強いです」


焚き火の明かりが揺れる中、カイルがセラフィムに問いかけた。

「セラフィムは...これからどこへ向かうんだ?」


セラフィムはゆっくりと杖を握り、微笑む。

「私は近くの村や街に出られればそれで構わない。それか、この村で何か困っていることがあれば、しばらく滞在しても構わないよ」


カイルは少し頷き「なるほど……ならば、少しこの村で診療を手伝っては貰えないだろうか...けが人も多い……」

「ええ、もちろんだ 、構わんよ」


セラフィムの柔らかな声が、夜の森に静かに溶け込む。


「へへっ……実はさっき村の皆からそう頼まれてさ……」

「うむ……俺でよければ力になろう」

互いに握手を交わし笑い合う。


カイルは地図を広げ、指でルートをなぞる。


「お前たちは北に向かうんだったな……?北に向かうなら、ここを通るのが安全だ。森を避け、川沿いの古い街道を進む。魔物の噂も少ない」

「助かります……」ヴァリオンがうなずく。

「私も、北に向かうにはこの道しかないと思います」ルミナも同意する。


カイルは少し笑みを浮かべ、肩をすくめる。

「なあ……お前らもアウレア王国に向かう予定だったよな...良かったらアウレア王国に一緒に同行して貰えないか?」とカイル。

「え……!!それは願ったり叶ったりです……」とヴァリオン。

「そうか……まあ、道中は俺に任せておけば安全だ。乗り物も出すし……最悪野宿になってもテントも乗せるしな...その代わりボディーガードを頼むよ」

とカイル。


「私たちでいいんですか!?」とルミナ。

「おお……駆け出しなんだったな……まあ海底トンネルでも見てたがその位の実力ならこのルートは問題ない、それに気にならないか?ライオネルさんの事……幻で現れたアウレア王国は聞いてた噂とだいぶ違ったんだ……だから本物のアウレア王国が今どうなってるか気になってな」

「俺もライオネルさんのことがどうなったか気になってました……」

「決まりだな?」アウレア王国までよろしく頼むよ。

「私達も知りたいわ!手紙飛ばしてよ」とリィナ。

「はい!!」とルミナ。


「北に向かうのか……?」とセラフィムが険しい顔で尋ねてくる。

「あ……はい」

「まさか黎明の山に行くんじゃないだろうな」

「そ……そうですが」


「やめた方がいい」ときっぱりセラフィムに言われてしまう2人は顔を見合わせて不安気な顔をする。


「ご……ご存知なんですか」

「ああ……黎明の誓いだろう……?若かった頃は、誓いを立てて失敗した者を救うために治癒に取り組んでいた時期があったよ……私利私欲のために誓いを立てて人としての人格すら失った者も多い...」悲しげに遠くを見つめるセラフィム。



「俺も聞いたことがある……誓いを立てて神聖な力を手にした者がいたんだってな……」とカイル。

「それなら私も聞いたことあるわ……」とエルヴィア。


「お前らみたいな若く勇敢な心優しい者はもし失敗した代償は大きい...人生を棒に振るようなものだ……」

ヴァリオンとルミナは俯き考える。


俺はともかく……失敗してルミナにもしものことがあったら、どう責任を取ればいい…。

ルミナはいい子だ……何かあってからじゃ遅い……。


「あ……あの……セラフィムさん……今までに誓いを立てた人はそんなに多いんですか……?」とルミナはおずおずと質問をした。



「黎明の誓いについては、あまり文献が残っていなくてな……故意に消されたんだろうと思うが、私は犠牲者を沢山見てきた。それでも、夢を見た者たちは黎明の山に向かったもんさ……」


しん...っと暗い空気が漂う。


「ま、魔法都市でなにか分かったら手紙を飛ばすわよ!」とリィナ。

「ええ……魔法都市の図書館には貴重な文献も数多く並べられていますから……調べてみますね……」とエルヴィア。


「あ……ありがとうございます……」と2人。


ヴァリオンはカイルとセラフィムとテントの中で寝袋に包まれて横になる。


ヴァリオンはテントの中で眠れぬ夜を過ごした……。1人でなんとかしなくてはいけないんじゃないだろうか...?ルミナの師匠はどういうつもりでルミナに許可を出したのだろうか……。

俺にこんな迷いがあっては失敗に終わるんじゃないだろうか...。

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