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黎明の誓い  作者:
20/46

三姉妹

ルミナは暖簾をくぐると、ふわりと立ち込める湯気と石鹸の香り。深呼吸して、心の中で小さくガッツポーズを作った。

「はあー!こんなに大きいお風呂……初めてです…」


体と髪を洗った後、髪をお団子にして、女湯の湯船に足を入れると、柔らかいお湯が肌に広がり、日々の疲れがふっと抜けていく。目を上げると、周囲には同じように湯に浸かる女性たちがちらほら。


お……大きい……!?皆さん……お胸が……すごいです!!

思わず自分の胸と比べるルミナ。


「おっ爆発魔法の子じゃないか!」

と1人のショートカットのお姉さんがルミナに気付く。

「きゃー!本当だ、かわいい!」

頭をなでなでされるルミナは、はわわわと慌てふためく。

「頑張ってたねー?何匹倒せたの?私達もピラニクス退治に来てたんだよー?」

あっという間に巨乳なお姉さん達に囲まれてしまうルミナ。



一方、出入口で待つヴァリオン。

浴衣って言うのはどうも落ち着かないな……。手にはピカピカになった装備品を持っている。ルミナの魔法袋に入れといて貰わなきゃだな……。


すると女湯から4人組の女性陣が賑やかに出て来た。

4人組か……ルミナじゃ無いなと視線を逸らそうと思った矢先、真ん中にニコニコしていたルミナ。

「あ、ヴァリオンさん!」

楽しすぎてすっかり忘れてました!


「ルミナ……知り合いか?」

「あ、いえ……」「え?彼氏?彼氏?」

と興味津々なお姉さん達にヴァリオンはタジタジ。

「彼もかわいーい!」

「一緒に飲みましょーよー」と誘われ、あれよあれよと言う間に一緒のテーブルについた。


「私たち三姉妹で旅してるの。私がマナ、長女よ」

マナはサバサバしたお姉さん。

「リナでーす!次女よー!」元気でお茶目なリナ。

「ハナよ。ルミナちゃん、ヴァリオンくん、そんなキンチョーしないで気楽にいこー?」ハナはすでにお酒片手に出来上がっている様子。


三姉妹の皆はルミナにあれもこれもと食べさせている。すっかりルミナはご機嫌だ。


「えっと、皆さんはどこを目指してるんですか?」

ヴァリオンは肉料理をナイフとフォークで切れ目を入れながら聞いた。


「中央大陸だよー南大陸も飽きたから中央大陸にそろそろ移動しようと思ってー」とハナ。

「私たち、転々としてるのさ」とマナ。

「たのしーよー」とリナ。


驚いた……故郷から出ず平和に暮らしていたから知らなかったが、家を持たずに旅をしている人達もいるんだな。


……故郷だけが全てでは無いんだ。



「ヴァリオンくん?だっけ?結構かーわいーいよね」とハナはヴァリオンに胸を押し付けてきた。

うっ、酒臭い!

ヴァリオンはハナの絡みに引き気味だ。


「ハナ!絡みすぎだよ」とマナが釘を刺す。


「ルミナちゃんと付き合ってないなら、私なんかどうー?」とハナがぐいっと顔を近づけてきた。


「お、俺には好きな……人がいます!」


「うっわ……ピュア――」とリナ。

「え!?どんな人ですか!」とルミナまで反応する。


女子の勢いに圧倒され、ヴァリオンは思わずテラスへと逃げ出し、風に当たって深呼吸した。


「あ――らら、嫌われちゃったね」とリナ。

ガックリと肩を落とすハナ。

「ぐいぐい行き過ぎだよ」とマナが呆れる。


「ほえー……でもハナさん、綺麗なので、絶対にそのうちに恋人できますよ!ファイトです!」

ルミナは励ましの言葉をかける。


「ルミナちゃーん」

ルミナに抱きつき、メソメソするハナ。


「はあ――哀麗さんみたいになれたらなー」と口にすると、

「アイレイさん?」とルミナは首をかしげた。

どこかで聞いたことがある名前だが思い出せない。


「私達は哀麗みたくなりたくて、各地でショーしたり歌ったりしてるのさ。

まあ、私は2人の護衛みたいなもんだけどな?」とマナ。


「南大陸ではなかなか人気が出なくて、移動しているのさ」とぼやくマナ。

「美しくて可愛くて、歌がとびきり上手くて……キラキラ輝く魔法を使っているのよ」とうっとりするハナ。


「じゃあ、次は中央大陸にある、哀麗さんが活躍していた王国に行ってみようか」とマナ。


ルミナはハッとした!!!

哀麗...ハラス・ヴォルトと共に誓いを立てた人物の1人...。

「その王国って言うのはどこなんですか!?」とルミナ。


マナはそう言うと、ほんの一瞬だけ目を光らせた。

普段の笑顔の裏に、何か企みがあることをほのめかして──。


ヴァリオンは酒場のウッドデッキで風に当たっていた。

まさかあんなに強引に顔を近づけてくるなんて――。

思い出しただけで赤面し、両手で顔を覆う。


「やあ……ここで飲んでいいかな?」


「あ……えっと、確か……マナさん。」


「ああ、マナで構わないよ。」

マナはジョッキを手に、隣の椅子へ腰を下ろした。


「未成年にはジュースだ。」

マナは笑いながら、トロピカルドリンクを差し出す。


「い……いただきます。」

ストローを啜るヴァリオン。


「ごめんね? ハナが悪酔いしてさ。君みたいな年下の、純粋そうな子が好みでね。」


「い、いえ……。」


「それより――良かったら明日、ピラニクス退治を一緒にどうだい?」


「えっ!?」


「遠くから見てたけど、ルミナちゃんの魔法も、君の斬撃も見事だった。

私は弓使いで遠距離攻撃が得意だし、きっと今日より効率よく倒せる。もちろん報酬は半分こだ。」


「リナさんとハナさんは……?」


「あの2人は戦闘はまるでダメでね。私達も早くトンネルを抜けたいんだ。」


「は、はい……! 後方支援がいてくれるなら、助かります!」


「じゃ、決まりだね!」

マナはヴァリオンの手を握り、「約束な!」と白い歯を見せて笑った。

その腕には、女性とは思えないほどの筋肉が浮かんでいる。


「あ……はは……女なのに、逞しすぎるよね?

リナやハナは可愛いのに、私はこの通り。性格も男っぽいし……変だろ?」


「……そうですか?」

キョトンとするヴァリオン。


「いいんだ、わかってるからさ。」

マナはジョッキを一気に飲み干した。その背中は少しだけ寂しげに見える。


「……そんなこと、ないと思いますよ。」


「え……?」


「あ、いや。格好いい女性がいたっていいじゃないですか。

人の魅力はそれぞれ違いますし。俺なんか昔はよく女の子に間違われてましたよ。」

そう言って笑うヴァリオン。


「そ……そう、か?」


「はい!」


「ありがとう。君は優しいな。」


「そ、そんなこと……。」


「で? 好きな人って、どんな人なんだい?」


「や、やめてくださいよ――!」


再び真っ赤になるヴァリオン。

その様子にマナはくすりと笑い、星空を見上げた。


「……いいな。私も、恋してみたいな。」


その目に映る星は、まるで彼女の中の“もう一人の少女”のようにキラキラと輝いていた。


ヴァリオンが酒場を後にしたあと、

マナはゆっくりとジョッキを回し、泡が静かに弾けるのを見つめていた。


――優しい子だな。

本当に、何も知らない顔をして。


「……悪いね、坊や。」

小さく呟く。声は誰にも届かない。


マナはポケットから一枚の古びたメダルを取り出した。

中央に刻まれた紋章は、アウレア王国のもの。


“哀麗”の名を出したのも、全て計算のうち。

彼らを王国に向かわせる――それが自分の任務。


夜風が吹き抜け、マナの髪を揺らす。

どこか遠くで、ルミナの笑い声が響いた。


……聞かせないでよ、そんな声。

罪悪感が、また戻ってきちまうじゃないか。


マナは空になったジョッキを置き、席を立った。

その瞳は、先ほどまでの優しい光を失い、

任務を遂行する者の鋭い輝きを放っていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます!(´▽`)今回のお話はどうでしたか?


さて、ヴァリオンとルミナ、これからどうなっちゃうのか…実は私もまだ考えてません(笑)

マナには気をつけて、ヴァリオン!


これからの展開を皆と一緒に見守って行けたら嬉しいです!



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