ななわめ ー 「賭けと破城槌」
辺りに緊張が走る。2人の男は拳を構えた。息を飲む音が聞こえる。お互いがその拳を振り上げた。
「「叩いて被ってじゃんけんぽん!」」
結城:チョキ 咲良:チョキ
……あいこかよ。ビビらせやがって。
2人の男は再び拳を構える。
「「叩いて被ってじゃんけんぽん!」」
結城:チョキ 咲良:チョキ
「またかよ!」
チラっ 海斗に視線を向ける。うわっ、反応すらしてない。どんだけ集中してんだよ。
呼吸を整え、集中する。
「「叩いて被ってじゃんけんぽん!」」
結城:グー 咲良:チョキ
海斗は一目散に俺の頭に拳を振る。俺は、素早く手を引き戻し、頭の上に向かわせる。
ん?ちょっと待てよ?なんであいつ拳を握り締めてる?俺の両手の守り方が速いとしても……
ゴン。咲良が頭を回している内にその拳は振り下ろされる。
「痛ってぇな!」
「守りなんて突破すればいい。」
「そういうゲームじゃねぇよコレ!」
「戦場にそんなルールはないからな。その平和ボケした頭に喝を入れてやったんだ。まずは感謝だろ。」
なんだコイツ。じゃあ今からノールックでタックルかましてやろうか。
「場外戦闘はゴメンだぞ?国際法に則って宣戦布告してからにしろ?」
なんなんだコイツ。頭に国連刺さってるのか?
「納得いかねぇ……。」
「フン。じゃあジュースは僕のものだ。早く行くぞ。」
片方は足取り軽く、片方は力なく、自販機に向かうのであった。
「勝利のコーラは美味いな。」
「へぇへぇ。俺は泥水啜ってますよ。」
「汚いぞ?」
「比喩だよ!」