よんわめ ー 「壁と変態」
一応……読む時には身構えておいた方がいいのかもしれません。
「……」
「私は壁よ。誰にも気付かれないの。」
何をやっているんだこのちびは。
「失礼なこと考えていなくて?」
いや、壁が喋るなよ。こっちは話しかけずに付き合ってやってるんだわ。
「コホン。さてと、誰も見ていないからサボって寝ちゃおうかなー。」
チラッ 壁さんは特に動く気がない模様。……ハッ!
ここで咲良に電流走る。
フッフッフッ。このノリ、紅葉は恐らく他の人がいない前提で何か恥ずかしいことをさせたいのだろう。いいだろう、とびっきりのモノを見せてつけてやる……。
「……(咲良、顔キモイけど何考えてるんだろう。)」
「いやー、でも、誰も見てないんだよなぁ。そう、誰も見てないんだよ。つ、ま、り?ここで俺が全裸で壁に張り付いたとしても問題ないよなぁ!」
これなら壁のフリも続けれまい。いかん、我ながらいい作戦を思いついたせいで少しヨダレが……。
「……ゴメン、咲良がそんなやつだったとは思ってなくて。変な事聞いちゃったね。」
……え?
いや、そうくるの?てっきりタックルでもされるのかと思ってたのに。
「キャー!いつからいたのよアナタ!」
とりあえずジャブ。まぁ、おふざけの延長線だよな?そんな、まさかガチだと思われてないよな?
「……最初からいたんだよ。」
知ってます。なんなら最初喋ってたし。
「でね、さっきのは……な、何も聞いてないから!」
ちょ、おい紅葉さん!?教室から飛び出していかないで!?せめてそれがネタなのか誤解なのかハッキリさせてから飛び出していってくれ!?
「ちょ、待たんかーい!誤解が、誤解があるからー!」
えっとー?そのまま帰ってこないんだが?え?……え?
あの、これってもしかして……詰みってやつですか?
「あれ、ネタですからね!?」
「いや、分かるよ?でもね、あれは本当にキモかった。」
「はい……すみません……」