さんわめ ー 「ジジイと毒」
キーンコーンカーンコーン。
そう、これは昼休みを告げるチャイム。
昼食。ああ、なんて甘美な響きなのだろうか。
俺はそそくさと弁当を出す。中身は唐揚げのり弁当。
「寝起きにそんな揚げ物食えるのかよ。」
「当たり前よ。というか、「高校生が揚げ物キツい」は歳をサバ読んでないか?」
「喧嘩か?買うぞ?」
え、海斗は図星な事を言われてキレたジジイってこと?
「海斗……それでも俺はお前の友達だよ。」
「はぁ……」
おじいちゃん疲れちゃったみたい。ほら、縁側にいそうな顔してるもん。
「ほんとに、何でお前に点数負けるんだか。授業あんだけ寝てて、テスト勉強もしてないんだろ?」
「ほひろん」
「はぁ……」
今度は棺桶の中にいそうな顔してる。でも、口と手は爆速で動かしてパン食ってるんだよな。
「さて、復習するか。」
「横で眺めてていい?」
うわっ、心底嫌そうな顔。光栄に思ってくれてもいいのに。
「邪魔だからコアラみたいに寝てろよ。」
「冷たいねぇ……ん?コアラってどういうことだ?」
コアラがたくさん寝ているのは食べたものの解毒のためだよな……
「授業中に何が起きたか知っておくべきだったな。」
「え?ちょ、冗談だよな?」
「…フッ…」
おいそこの海斗。何半笑いで聞こえないフリしてるんだよ。
「えぇ……まぁ、じゃあ寝るか……。」
寝たら忘れるとか言うし、大丈夫でしょう。きっと、恐らく、Maybe。
「特に何事も無かった。なんだったんだよ、あの思わせぶりなノリは。」
「良かったな、何も当たらなくて。」
「ケッ!どうせハッタリだ!」