にわめ ー 「クズと天才」
スヤァ……
「今日はピタゴラスのクズエピソードだがーー」
スピー……
「おい。咲良起きろ。授業始まってまだ10分だぞ。」
「……ふえ?」
「何寝ぼけてんだ。真面目に授業受けろ。」
まったく、人が幸せに寝てるというのに。この余計なお世話好きな先生は……
「これはこれは、大変失礼致しました。せっかく起こしてもらった訳ですし、ついでに私のノートを見て頂けませんか?」
「?……!」
そう!今日の授業範囲どころか、次の次くらいまで終わらせているのである!
「大変恐縮ですが、以降の授業でこれ以上の内容を進めるおつもりで?」
「いや、そこまで行くつもりは無い。」
ふーん。これは勝ったな。
「では。」
「じゃあピタゴラスのクズエピソードも知ってるか?」
「それ、覚えられない人に印象づける為でしょ?」
「……お前もう寝てろ。」
ほーら勝った。先生が寝ていいって言った訳だしドヤ顔しながら寝れるわぁ。
スピー……
「はぁ。じゃあ続きだ。」
「僕の努力はなぜこんな奴に負けるのか……。」
さぁ、それ は 俺に も 分 か ら n……スヤァ……
スピー……
「……先生。今この隙に僕がこいつの弁当にケシカスを混入させる許可をください。」
「ダメだな。」
「そうですか。」
フガッ!ニャムニャム……
「……だけどな、先生は今から板書に忙しい。……それだけだ。」
「……先生!」