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パンツァーヘクセ ~魔法使いが戦車で旅する末期感ファンタジー~  作者: 御佐機帝都
二章 操蟲が造る楽園(Battle of Elfenia)
42/130

戦車講座 エルフェニア戦車

M41Hazadone Sec

車体装甲厚(前/側/後):50/25/25

砲塔装甲厚(前/側/後):50/25/25

戦闘重量:17トン

エンジン:4ストロークV型12気筒空冷ディーゼル240hp(2000rpm)

最高速度:44km/h

主砲:47mm mod.41(48口径)

副武装:7.92mm MG37×2

乗員:5


開発史

 エルフェニア陸軍は東方侵攻戦を計画するうえで、主力となる戦車のエンジンは燃費が良く整備性、信頼性、燃料の汎用性が高い空冷ディーゼルが望ましいと考えていた。

 統制型空冷ディーゼルと名付けられたこの戦車用エンジンは四〇年に完成。砲塔には開発中の新型対戦車砲を改修したものが搭載された。

 試作車両は陸軍の要求仕様のうち一六トン以下という条件を満たしておらず、その原因は統制型ディーゼルエンジンが想定より重い事であった。

 しかし東方侵攻戦が早ければ半年後に始まるという状況であったため、軽量化の指示は出ず正式採用された。

 そのためハサドーネが三舟重門橋を渡る際には車両からできる限り物を降ろして渡河することとなった。

 エルフェニア陸軍のハサドーネに対する期待は高かったが、大戦初期の段階で戦車砲が威力不足である事が発覚し、早くもハザドーネの苦闘の歴史が始まってしまう。

 しかし後継中戦車の実戦投入は大戦中期まで待たねばならず、ハザドーネの生産と改良は続けられた。

 本車のSecは二番目を意味し、アンテナを増設、吸気口に防菌フィルターを追加、リベット留めが廃止され全面溶接構造となった。

 これはハサドーネ採用当時から予定されていた改良であり、四一年秋から順次更新された。単にハサドーネと言った場合はこの第二期生産型を指す。

 本車に続く改良型としてTerが存在し、用兵側からの要望が強かった同軸機銃が追加された他、エンジンに過給機が搭載され出力が向上した。

 ただし既に攻守とも陳腐化しているハザドーネを更に強化する動機は少なく、第三期生産型の生産数は少ない。

 ハザドーネの生産は四四年春に終了したが、運用は終戦まで続けられた。また、堅実な設計で信頼性の高いハザドーネは複数の派生車両を生み出している。



実績

 コニファール侵攻には天険ネラス山脈を越える必要から軽戦車が投入され、ハザドーネの出番は無かった。

 ハザドーネが最初に活躍したのはプラティ共和国への上陸戦である。

 発動艇や機動艇から揚陸するハザドーネは歩兵にとって非常に頼もしく、プラティ軍の対戦車砲や戦車が旧式だったこともあって作戦成功の立役者となった。

 ただし、コニファールでの戦いからは芳しくない情報が寄せられていた。

 四七ミリ対戦車砲が敵戦車に通用しないというものである。これはハザドーネの戦車砲もまたコニファールやセルロンの戦車に通用しないという事を意味していた。

 ただし、コニファール自体は一ヵ月で降伏。プラティ周辺の制海権は完全に取れており、ミネル連邦も数ヵ月で降伏するであろうという見立てから、この時点では大きく問題視はされていなかった。

 そしてハザドーネがその真骨頂を発揮したのが続くタイール侵攻戦、通称『大陸打通作戦』である。

 タイール軍の対戦車砲や戦車も旧式であったためハザドーネの攻守に不足は無く、その良好な燃費と燃料の汎用性の高さ、劣悪なインフラでも移動可能な機動力と重量によってエルフェニア陸軍の想定すら上回る驚異的な進軍速度を達成した。

 このように緒戦で華々しい戦果を上げたハザドーネであったが、ミネル侵攻戦において宿敵たるT-40と遭遇する。

 ハザドーネの戦車砲ではT-40の正面装甲は貫通不可能であり、撃破するには側、背面を近距離で撃つか、榴弾による集中砲火を浴びせるしかなかった。

 一方T-40の戦車砲は二千メートルでもハザドーネを撃破可能であり、正面切っての撃ち合いは自殺行為となった。

 当時はミネル戦車兵の技量の低さや運用の稚拙さもあって戦いとしては勝利できることが多かったが、期待の新型戦車だったはずのハザドーネは量産開始から僅か半年で性能的な限界に突き当たってしまった。

 大戦も後期となると性能不足は如何ともし難いものとなったが、大きく取れる俯角を活かした地形の利用や、巧みな待ち伏せによって倍近い重量を持つ敵戦車を多数撃破している。

 また、撃破不可能な敵戦車に対しては体当たりを敢行し、擱座させて敵軍の侵攻を遅延させたこともある。

 大戦後期に入ってもハザドーネは前線で戦い続け、エルフ戦車兵の血の滲むような努力と熟練の技術で終戦まで奮戦を続けた。




M42Foretti R

車体装甲厚(前/側/後):50/45/50

砲塔装甲厚(前/側/後):100/45/45

戦闘重量:26トン

エンジン:4ストロークV型12気筒空冷ディーゼル412hp(1800rpm)

最高速度:48km/h

主砲:75mm mod.43(37口径)

副武装:7.92mm MG37×3

乗員:5


開発

 開戦当時、エルフェニア陸軍はハザドーネの後継として20トン級戦車を開発していた。

 その設計はハザドーネの拡大発展型であり、戦車砲には開発中の57mm戦車砲を採用予定だった。

 しかしミネル軍のT-40との遭遇によってエルフェニア陸軍はT-40ショックとも言うべき衝撃を受け、戦車開発計画は白紙に戻ることとなった。

 試製57mm対戦車砲は五〇〇メートルでT-40の正面装甲を貫通するかどうかといった性能で、発射試験の段階で威力不足として不採用となる。

 この時点で57mm戦車砲も開発中止となり、代替案として野戦砲改造の75mm戦車砲が選定された。

 車体設計もT-40の影響を受け、装甲を全体的に傾斜させるよう変更された。

 この時点で重量増加は確定的であったが、海上輸送の観点から重量は25トン程度が上限とされた。

 本車は四二年のうちに正式採用されたが、車体は殆ど新規設計に近く、野戦砲の改造にも手間取り、量産開始は四三年にずれ込んだ。

 戦時急造の間に合わせ兵器と言える本車だが終戦まで生産が続けられ、何度か改良が加えられている。

 特に大きな改良は新型エンジンへの更新であり、車体が新設計のものに変わったが、ハザドーネのように新たな型式が与えられることは無かった。ただし書類の上で便宜上強化型の意味でR型と記載される事はあった。



実績

 フォレッティが量産開始時点で性能的に優位とは言えない事はエルフェニア軍も認識していた。

 T-40と比較して攻撃力は互角。車体装甲は劣るが砲塔正面の防盾部は厚く、正面切っての撃ち合いでも勝ち目はあった。しかしエルフェニア陸軍が求める戦車は敵戦車に対して優位に戦える戦車であり、フォレッティはそこまでの性能を有していなかった。

 それでもフォレッティが実戦投入される頃の戦況は膠着状態に陥っており、多発する防衛戦闘においては、待ち伏せで優位に戦うことができた。

 またエンジン換装後のフォレッティはアルセリオより機動性が高く、戦車砲の榴弾威力でも上回っていたため、敵の拠点や基地を襲撃して損害を与えており、歩兵からは非常に頼りにされていた。

 ハザドーネの様な華々しい大勝利は無く、アルセリオの様に敵を圧倒できる性能も無かったが、必要な時期に十分な性能を有して実戦投入された事は事実であり、大戦後期における事実上の主力戦車は本車であった。




M44Alserio

車体装甲厚(前/側/後):60/50/40

砲塔装甲厚(前/側/後):125/60/60

戦闘重量:35トン

エンジン:4ストロークV型12気筒空冷ディーゼル570hp(1800rpm)

最高速度:45km/h

主砲:75mm mod.44(70口径)

副武装 7.92mm MG37×2

乗員:4


開発史

 ミネル石軍のT-40の性能を知ったエルフェニア軍は、フォレッティの開発と並行してより強力な戦車の開発を決定する。

 将来的に連合軍がモルガンと同等かそれ以上の戦車を投入してくることを想定し、走攻守全てでモルガンと同等以上の性能が求められた。

 また、アルセリオには単なるフォレッティの強化型に留まらない、多くの新技術を盛り込むことも決定した。

 開発チームは購入したモルガンF型と鹵獲したT-40を徹底的に研究し、両者の良いとこ取りをすることで総合的な性能で上回ることを目指した。

 エンジンは未だ開発の途上にある新型の統制型ディーゼルエンジンに過給機を付けたものを採用したが、モルガンのようにエンジンと変速機を一体化して車体後部の機関室に収めることは技術力の不足から実現しなかった。

 従来通り車体前部に置かれた変速機はハザドーネの頃から進歩が無く、歯車の回転が少しでもずれると変速レバーが跳ね返ってくるという欠陥があった。

 また変速機を取り出すため車体正面の一部がボルト留めのパネルになっており、車体長は抑制されたものの防御上の弱点となっている。

 またディーゼルエンジンの割に燃費が悪かったが、この点も終戦まで改善されなかった。

 車体正面はモルガンと同じ60度傾斜した60mmの装甲だが側、背面は装甲厚で上回り30度傾斜している。

 長砲身75mm砲の貫通力は非常に高く、対戦車戦闘における攻防力では確実にモルガンを上回った。

 エルフェニア陸軍にとって本車の性能は満足いくものであったが、懸念も存在した。

 エンジンの生産が需要を満たせないという問題である。そのためフォレッティと同じエンジンを積んだ型式の生産も検討されたが、結果的には杞憂に終わった。

 アルセリオが量産に入った四四年夏頃には戦況が悪化しており、戦車の生産ラインを大きく置き換える時間など無く、アルセリオの配備は一部の精鋭師団に留まったからである。



実績

 本車はエルフェニア陸軍戦車開発の到達点である。

 現在の戦場の一歩先を見据えた要求性能としたことで開発が間に合い大戦後期に量産に入る事ができた。

 輸送上の問題から本車は東部戦線にのみ投入されたが、宿敵T-40を一方的に撃破することが可能で、エルフ戦車部隊の面目を大いに施した。

 なお、アルセリオは友軍から終戦まで重戦車だと誤解されていた。

 これは開戦当時のエルフェニア陸軍の基準では30トン以上は重戦車の分類であったことや、アルセリオが機甲科以外の兵士に馴染みがなかったことが原因である。

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