彼女がいた
僕が家に帰ると、あいつは居なくなっていた。
僕は、社会人一年目の五十嵐新毎日満員電車に揺られながら会社に向かう毎日変わらない日常だった。
今日は残業で、帰宅したのは日付が変わる五分前だった。
ガッれもいるはずがないのに「ただいまぁ〜 」と声が出た。
「お帰りなさい、新くん」と声がした。
僕は、こっちに上京してから彼女もましてや奥さんもいないのに……。
「誰?」思わず声が出た。
声のする方を見たが誰もいない、だが床が人の足形に濡れていた。
僕は、不思議と怖くの気味悪くもなかった。
「ただいま」
次の日、朝起きると見たことのないお弁当箱があり、綺麗に布で包まれ置いてあった。
昨日の声の人だろうか?疑問に思いながら僕はそのお弁当を持ちいつも通り会社に向かった。
帰るとまた昨日の声がし、机のはご飯が置いてあった。
『お帰りなさい、今日は不在なので置いておきます。隠し味当ててみて、温めて食べてください。美希』と書き置きがあった。
僕は見覚えのない名前で少し戸惑った。隠し味って?と思った。
疲れのせいか少し眠くなり、僕はうたた寝をしてしてしょまった。
目が覚めると僕は誰かの膝に頭を置いていた。
「おはよう新くん、私は美希」
僕には、はっきり見えている。
黒髪で腰まで伸びた髪は窓の隙間から入ってくる風に揺れていた。
僕は、初めて幽霊というものを見た。
それの日を境に僕と美希さんの生活は始まったと思っていた……。
一週間後、僕はいつもの様に帰宅をすると彼女はいなかった。
次の日も次の日も……僕は彼女がいなくなって気づいた。
僕は、彼女に恋をしていたらしい。