U.S.J. ピリオドがあるんだから(4)
舞い上がるゴンドラ。
それを目で追う優子。
しかし、何か気になった優子は、上空から視線を戻した。きょろきょろと首を振る。
――あれ?
優子たちを取り囲んでいたU.S.J.がいないのだ。
一体どこに行ったというのであろうか
U.S.J.たちが、出来上がった温泉に気持ちよさそうに浸かっているではないか。
そうだよね。カピバラって温泉好きだもんね……しょうがない。
いやぁ、みんな温泉に浸かってハッピーエンド。
しかし、アイちゃんの乗ったゴンドラは大丈夫だろうか?
もう一度、上空を見上げる。
――良かった! あった!
今まさに、すごい勢いで落下してくるではないか!
そりゃぁ、登ったものは落ちてきますわ。
どゴーン!
大きな音共にゴンドラが温泉に突っ込んだ。
気持ちよさそうに温泉に浸かっていたU.S.J.部隊は、全員つぶれた。
――もしかして……勝った?
優子とプアールは顔を見合わせた。
二人は手を合わせて喜んだ。起死回生の逆転劇である。
プアールは得意げにリチルを指さした。
「それ見なさい! 私の方が格上よ!」
きぃいぃいい!
悔しがるリチル。
ハンカチを噛んで地団駄を踏んでいる。
「こうなったら最終手段よ! ネズミ―ランド自爆装置起動!」
ハイ?
――いきなり自爆装置って何ですか? まだ、ネズミのモンスターたち残ってますよね。
園内に大きなアナウンスが流れる。
「自爆装置が起動しました。本日の営業は終了です。すみやかに退園ください」
そのアナウンスを聞いた園内は大騒ぎである。
訳が分からない入場客は逃げ出した。
そして、スタッフのネズミモンスターもパニックである。
見てみなさい、ネズミのモンスターたちが慌てふためき逃げ出したじゃないですか!
リチルは、急いで高級セダンのコボルボに乗り込んでいた。
後部座席の窓から顔だし何か叫んでいる。
「ハハハ、プアール安らかに眠りなさい。その観覧車の地下には、このネズミ―ランドをすべて吹き飛ばす爆薬が仕掛けてあるの。今更逃げてももう遅いわよ!」
そう言い残すと、リチルの乗るコボルボは走り去った。
「なんだ……もう終わりか……」
ヤドンがつまらなさそうに優子のもとに戻ってきた。
――今さら戻ってきやがって!
優子は湧き上がる怒りを堪えた。
「これから旦那様とパレード見ようと思ったのに」
ムンネが相変わらず、ヤドンの腕にまとわりついていた。
「そうだよなぁ!」
ヤドンも、その気だったようである。
何が! なぁだ!
「それどころじゃないわよ! この観覧車、爆発するのよ! 地下に爆薬があるのよ! 爆薬!」
「なんだパレード残っているじゃないか!」
ヤドンは喜んだ。
「花火じゃなくて、爆発よ! 爆発!」
「花火も爆発だろ?」
「そうだけど、ココの爆発はみんな死んじゃうのよ!」
「俺は大丈夫だけどな!」
「ヤドン! あんたが大丈夫でも、私が大丈夫じゃないのよ!」
「優子、お前よわいもんなぁ」
ヤドンが笑う。
-----------------------------------------------
【優子変わらず】
氏名 木間暮優子
年齢 17歳
職業 女子高生
レベル 1
体力 50
力 10
魔力 1
知力 2
素早 5
耐久 5
器用 5
運 7
固有スキル 貧乏性:いらないものなら何でも引き受けます♡
死亡回数 5
右手装備 スマホ(ネット接続付き)
左手装備 スクールバック
頭装備 セーラー服リボン(赤色)
上半身装備 セーラー服(半袖)
下半身装備 紺のミニスカート(校則違反)
靴装備 スニーカー(通学用)
攻撃力 5
守備力 5
所持金 874,601,212,139
パーティ ヤドン
えっ? レベルが上がってないって……だって、あれ、事故じゃん!
U.S.J.やっつけたの、ゴンドラじゃん!
ゴンドラがレベルアップしました!




